ミズカンナ
 去年の秋、宮崎から遊びに来た友人IYと海洋博公園へ出かけた。IYが『ちゅら海水族館』を見学している間、私は別行動をとって、公園内の散策兼動植物の写真撮りに勤しむ。しかしながら、海洋博公園は広い。全体の十分の一も回れたかどうかというところでIYから「終わったよ。」と電話があった。で、私の散策も終了。
 散策は2時間ほどでしかなかったが、それでも、それぞれ十数枚の動物、植物の写真が撮れた。現物は見たことないが、図鑑で見知っているものがあり、「やっと会えたね」となる。または、全くお初のものもあり、「あんた誰?」となる。
 「あんた誰?」の中にミズカンナがあった。水辺という環境に生えていて、花にも特徴があったので、後日調べて、すぐにミズカンナだと判明した。
 ミズカンナの科名はクズウコン科と言う。クズもウコンも食用になる。野山の食えるものに興味のある私はそれがちょっと気になった。『沖縄植物野外活用図鑑』にクズウコンがあった。「根茎は肥大して・・・料理用に・・・デンプンをとって利用・・・」とのこと。根茎はそのまま食えて、デンプンをとって利用もできるようだ。ならば、同じ科であるミズカンナも、と期待したが、残念ながら、食えるとは文献に無かった。

 ミズカンナ(水かんな):水辺装飾
 クズウコン科の多年草 北アメリカ南部原産 方言名:なし
 水辺に生えるカンナに似た植物ということでミズカンナという名前。ただし、カンナはカンナ科で、本種はクズウコン科。葉の形がカンナより少々細めで硬い感じはするが、よく似ている。ちなみに、カンナという名前は学名の属名Cannnaから。
 似ているというと、観葉植物のカラテアとかマランタに似ている。と思って調べたら、カラテアもマランタも本種と同じクズウコン科であった。ただし、それぞれ属は異なる。カラテアはCalathea属、マランタはMaranta属、本種はThalia属。
 高さ1〜2mになる水生植物。海洋博公園では池の縁に群生していた。茎は真っ直ぐ伸びて、葉も概ね上向きで、しゃきっとした姿、なかなかの景色となる。
 花茎も真っ直ぐ伸びて、その先に穂を出す。穂には多くの花がつき、白い萼と紫色の花の混ざり具合も面白い。開花期についての資料は無いが、文献の写真は7月で、私の写真は10月。ということで、夏から秋ということにしておく。

 花
 記:島乃ガジ丸 2009.4.7  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
inserted by FC2 system