ミルスベリヒユ |
2年前の2009年の夏、南北大東島を旅した。北大東島ではたくさんの動植物の写真が撮れたが、南大東島では少なかった。北大東島は歩いて散策し、南大東島はレンタルの自転車を使った。歩いているといろんなものに気付くが、自転車では気付きにくいというのが一つの理由で、もう一つ、北大東島の一日は曇りがちであったが、南大東島は快晴であったという理由もある。快晴で日差しが強く、自転車を漕いでいる間、強烈な直射日光を浴び続けて死にそうになり、周りの景色に目をやる余裕が無かったのだ。 北大東島の海岸の岩場で見つけたのがシロミルスベリヒユ。白ミルスベリヒユがあるのなら白くないミルスベリヒユもあるだろうと調べたら、シロミルスベリヒユはミルスベリヒユの変種で、ミルスベリヒユは淡紅色をしているとある。で、探す。 この2年の間、何度も海岸を散策している。ヤンバル(沖縄島中北部の通称)の海岸も散策した。しかし、見るスベリヒユなのに、どこに行っても見ない。文献には、シロミルスベリヒユよりもミルスベリヒユが多いというように記載されているが、見ない。 ところが、今年(2011年)7月、時間潰しにと出かけた漫湖(マンコと読む)公園で見つけた。ミルスベリヒユは漫湖公園の川べりに群落をなしていた。「なんだお前、こんな近くにいたのか」と拍子抜けする。漫湖公園は那覇市にあり、家から車で20分ほどの距離だ。わざわざ遠いヤンバルまで出かけなくても良かったのだ。 ちなみに、ミルスベリヒユシロミルスベリヒユと続けると、私は舌が回らない。 ミルスベリヒユ(みる滑莧):海岸植物 ツルナ科の多肉質多年草 トカラ列島以南、琉球列島に分布 方言名:ハマミジナ 名前の由来、スベリヒユは滑莧であろうが、ミルが不明。スベリヒユが食用になるのに対し、本種は観賞するしか価値が無いので「見る」なのかもしれない。あるいは、ミルという別の植物がある。海松と漢字表記する海産の緑藻で、それと何か関係(葉の形や色が似ているとか)があるかもしれない。ちなみに、スベリヒユはスベリヒユ科で本種はツルナ科。方言名のハマミジナは浜水菜の意味だと思われる。 海岸の岩場や河口の砂泥地に自生する。茎は長さ20~50センチ程まで伸び、茎の節々から根を出しながら匍匐して広がる。時に群落が見られる。 花弁は無く、花弁のように見えるのは愕で、淡紅色をしている。花色が白いのも同じ環境に自生しており、それはシロミルスベリヒユと名がある。開花期は夏。 ちなみに学名は、ミルスベリヒユ Sesuvium portulacastrum L. シロミルスベリヒユ Sesuvium portulacastrum L. var. tawadanum K. Nakajima 花 白花 |
記:島乃ガジ丸 2011.8.5 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 |