コモウセンゴケ
 パソコン(エクセル)に日記をつけるようになったのは2001年からで、それ以前は紙の日記帳につけていた。「あれはいつのことだったけ?」と調べる時、パソコンは調べやすい。表になっているので見やすいし、文字の検索もできる。それに対し紙の日記帳は調べにくい。悪筆なので何書いてあるか解らない所もあるし。
 ということで、15年ほど前か、あるいは20年ほども前になるか、その頃の日記は紙の日記帳なので調べる気にならないのだが、まあ、だいたいそのくらい前の事。案内人付きのヤンバル(山原:沖縄島北部の通称)の山散策に参加した。
 案内人は植物や動物の話を、実物がある場合は実物を示しながらいろいろ語ってくれたが、私が覚えているのは「どういった所にノグチゲラは営巣するのか」ということ、アオバナハイノキという名前、そして、名前だけでなく実物も確認して覚えているのが水溜りにうようよいたシリケンイモリと、不思議な植物コモウセンゴケ。
 コモウセンゴケは花を咲かせていた。「へぇ、苔なのに花が咲いている。」と不思議に思ったのだ。たぶんその時、案内人はちゃんと説明したと思うが、私はそれを聞かなかった思う。今回調べて判った。コモウセンゴケは苔の仲間ではないことを。

 コモウセンゴケ(小毛氈苔):鉢物
 モウセンゴケ科の多年草 食虫植物 方言名:キンシクンショーグヮー
 名前の由来は資料が無く不明。モウセンゴケが広辞苑にあり、毛氈苔と字が充てられている。それの小型であることからコ(小)がつくと思われる。さて、毛氈とは何ぞや?で広辞苑、「獣毛に湿気・熱・圧力・摩擦などを加えて一種の縮絨を施し、各繊維を密着させて製する敷物用毛織物」のこと。毛織物で作られた敷物ということだが、縮絨という難しい言葉が出てきたのでこれも広辞苑、「しゅくじゅう」と読み、「毛織物仕上げの一工程・・・毛織物の長さおよび幅を収縮し、組織を密にし、表面の毛端をからませること」とのこと。なお、苔と名は付くが本種は種子植物で苔の仲間では無い。生え方が文字通り毛氈のようなので、つまり、苔のように生えているところから。
 モウセンゴケ同様、本種も食虫植物で、「葉の上面に多くの赤い腺毛があり粘液を分泌して小虫を捕らえ」(広辞苑)、それを食べる。
 沖縄の山間部、やや湿り気の山地の路傍、岩に着生するように自生している。根生葉は地面にへばりつくようにして生え、その中心から長い花柄を出し、淡い紅色、または白色の花を咲かせる。開花期、沖縄では4月から10月。
 記:島乃ガジ丸 2012.10.31  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
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 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
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