ケイトウ
 ケイトウは鶏頭のことで、雄鶏の頭にある鶏冠(とさか)に花の形が似ているところからその名がある。若い人はどうだか知らないが、私はケイトウよりもトサカという言葉が耳に馴染んでいる。ケイトウと聞いて鶏の頭を思い浮かべるまでに私は、系統、傾倒、継投などが頭をよぎった後、数秒後となる。であるが、トサカとなると真っ先に、間髪を入れずに鶏の頭が思い浮かぶ。最近はあまり耳にしないが、「トサカに来る」なんて言い回しを、子供の頃よく耳にした。自分でも使ったかもしれない。「トサカに来る」は、広辞苑によれば、「頭に来る」を強めた俗な言い方、とのこと。

 鶏頭でもう一つ思い出した。中国の故事による格言だったと記憶しているが、「鶏頭となるも牛後となるなかれ」というもの。その意味は・・・と広辞苑を開いたが、この言葉が載っていない。「有名な言葉だと思うが、不思議だ。」と思いつつ、念のため、牛後をひいて見る。その牛後の説明の最後に、「鶏口」という文字が反対語として紹介されてある。で、鶏口を調べる。・・・そうか、・・・そうであったか。
 「鶏頭となるも牛後となるなかれ」という私の記憶は間違いで、「鶏口となるも牛後となるなかれ」が正解であった。私は30年以上も間違えて覚えていたようだ。
 おそらく、これまでに何度か、この言葉を間違ったまま使ったに違いない。それも得意そうに。ウチナーンチュの性で、言葉に対してもテキトーなところが私にはある。
 まあ、でも、今回はすんでのところで大恥をかかずに済んだ。このような記事を書くことは、情報を他人に伝えるためだけでなく、自身の役にも立っているということだ。

 ケイトウ(鶏頭):花壇・切花
 ヒユ科の一年草 熱帯アジア原産 方言名:トゥイヌカンジー
 ケイトウ(鶏頭)という名は、その名の通り、花(穂)が雄鶏の鶏冠(とさか)に似ているところから。花穂はしかし、トサカ状の他、フサ状、ヤリ状などの形がある。形としてはトサカ状が目立つので、それが代表となったのであろう。方言名のトゥイヌカンジーも同じ、トゥイ(鳥)ヌ(の)カンジー(とさか)のこと。
 園芸品種が多く、形も色々だが、花色も色々あり、紅、赤、黄、橙、紫など。草丈も30センチほどの矮性種から1メートルを超えるものまである。開花期は夏から秋、植付時によって、7月から10月、8月から11月になるとのこと。
 記:島乃ガジ丸 2007.7.10  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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