カンナ
 沖縄の遊泳できるビーチ(注1)は主に西海岸、東シナ海側にある。リゾートホテルもほとんどが西海岸側にある。東側の太平洋に面した海岸も泳げないことは無いが、海水浴用に施設の整備されたビーチは少ない。今は、安座間ビーチなどきれいに整備されたビーチもあるが、私が高校生の頃までは、本島南部の玉城(たまぐすく)村にある新原(ミーバル)ビーチと、その隣の百名(ヒャクナ)の他にはほとんど知らなかった。
 高校を卒業した年の春、卒業式が終わって数日後に、クラスの仲間十数人でキャンプに出掛けた。男女の数はおよそ半々、大きなテント一つに男女入り混じって雑魚寝した。私の隣に寝たのはYさんというカワイイ子で、私の下半身は大興奮であったが、根が真面目な私は、目の前にある唇や大きな胸に指一本触れることなく一夜を過ごした。もちろん、白状するが、その時テントに二人だけだったなら、私の理性は完敗していたに違いない。
 キャンプの日程は確か2泊3日くらいの予定だったと覚えているが、ちょうど春闘の時期、バスストがあったせいで、1日だったか2日だったか日程が延びた。私の甘くせつない日々もその分延びた。オジサンとなった今でも、忘れられない思い出となっている。
 キャンプ場になったのは本島北部、宜野座村(ギノザソン)にあるビーチ。そこは太平洋側に面した数少ないビーチの一つで、名前を漢那(かんな)ビーチといった。

 どこやらから種が飛んできたか、鳥が運んできたのかは知らないが、ナンクルミー(自然発生)するカンナ、いつのまにか大きくなって赤く大きな花を咲かせる。花を引っこ抜くと、その根元に甘い蜜があり、子供の頃よく舐めたものだが、カンナと聞くと、その蜜の甘さより、キャンプの日々の甘酸っぱさが思い出されるガジ丸なのであった。
 注1、英語でbeachと書く。浜辺という意味の他に海水浴場の意味もある。沖縄でビーチと言うと概ね、脱衣場、トイレ、シャワーなどの設備がある有料海水浴場を指す。

 ハナカンナ(花Canna):花壇・春植球根
 カンナ科の多年草 中南米原産の改良種 方言名:なし
 単にカンナとも言う。カンナは属名(Canna)から。花が大きく目立つのでハナとあえて呼ぶ。本種の原種をダンドクといい、和名はオランダダンドク(阿蘭陀檀特)。このことから、文献によってはダンドク科としている。
 原種ダンドクは花が小さくパッとしない。本種はその改良品種で花が大きい。園芸品種が多く、花色は赤、黄色、白、オレンジ、ピンクなどさまざま。高さ2mまでになるものもあるが、1mほどの矮性種もある。
 葉の間から長い花茎を出して、その先に花を総状につける。花弁に見えるのは雄しべ。夏の花というイメージが強いが、開花期は長く、4月から10月。
 日当たりの良い場所を好む。小学校の花壇に春植球根としてよく利用される。
 食用のショクヨウカンナもあるらしい。根茎の澱粉が食えるとのこと。

 黄花

 白花 
 斑入り種

 ついでに、
 ダンドク(檀特):野草・花壇
 カンナ科の多年草 原産分布は熱帯アメリカ、熱帯アジア 方言名:なし
 野原や道端でちょくちょく見かける植物、パッとしない花なので特に気になるものでもなかったが、調べると、『沖縄植物野外活用図鑑』にあって、ダンドクという名。ダンドクは広辞苑にも記載があって、檀特という字が充てられている。ダンドクという名前の由来についてはどちらにも説明が無く、不明。
 花壇の植物として有名なハナカンナの原種となっている。品種名としてはカンナインディカ。高さ2m内外、葉がらせん状につき、その間から花茎を伸ばし、花をつける。花弁に見えるのは雄しべ。色は鮮紅色、黄色など。開花期は4月から10月。

 赤花

 黄花
 2005.2.18訂正加筆
 記:2005.2.18 島乃ガジ丸  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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