ホシアザミ
 中島みゆきのデビュー曲が何であるかを私は知らないが、「アザミ嬢のララバイ」も相当古い曲で、彼女のデビューの頃の作品ではないかと記憶している。
 アザミという植物の実物を、私は、じつは知らない。知らないけれども、アザミの葉がギザギザで棘がいっぱいあるということは、どこからかの知識で知っている。だから、「アザミ嬢のララバイ」は、「棘のある女の、子守唄」であろうと解釈していた。
 棘といっても、男の心をグサグサ突き刺すバラに例えられるような棘では無い。バラが選ばれた美人なら、アザミはその辺にいる烏合の衆の一人。しょっちゅう振られて、心にたくさん傷が付いて、それが棘となって、他人の幸せを妬んだり、世を拗ねたりして、周りから刺々しいと感じられるような女。そんな女の子守唄。あー、辛い。
 アザミという植物の実物を知らない、と書いたが、私が参考にしているほとんどの文献にアザミの記載が無いので、沖縄にアザミは無いのかと、だから見たことが無いのかと、思っていたら、『沖縄園芸百科』にアザミが紹介されてあった。それによると、日本には60種のアザミの仲間が分布するとある。60もあれば、沖縄にもあるに違いない。おそらく、私も見てはいるが、それがアザミであることに気付いてないだけなんだろう。

 11年前、今のアパートに越してきて、近所のあちこちの庭に、今まで見たことの無い白い花が咲いているのを見つけた。調べると、ホシアザミという名前であった。その時は、これがあの有名なアザミの一種であるか!と思ったのであった。ところが、後日(ずいぶん最近になって)、ホシアザミはアザミとは全然違う植物であることが分かった。
 アザミは沖縄に自生しない、ホシアザミはアザミの一種である、などのようにいろいろ間違った解釈をしている私は、おそらくもっと多くの間違った解釈が頭の中にあるに違いない。「アザミ嬢のララバイ」が「棘のある女の子守唄」であろうという解釈もきっと、間違った解釈であろうことは、たぶん間違いなく、間違いない。

 ホシアザミ(星薊):添景・花壇
 キキョウ科の多年草 原産分布は南アメリカ 方言名:無し
 ネットで検索するとホシアザミよりイソトマの名前で多く検出される。イソトマが一般的なのであろう。葉の形がアザミに似ていて、花が星型なので通称ホシアザミとなっているのだろうが、アザミはキク科で、こちらはキキョウ科。
 1株に1つの花がぽつんと咲く清楚な星型の花は、私は白色しか見たことが無いが、他に青紫や桃色花があるようだ。ネットには青紫が多くあった。
 沖縄に入ってきたのはそう古くはないと思う。私が今住んでいるアパートの周辺には多くあるが、それまで民家の庭や花壇で見かけることは無かった。あるいは、昔からあるにはあったが、有毒(汁液は皮膚につくと炎症をおこす)なので植えられなかったのか。
 沖縄での開花期の資料は無いが、近所のホシアザミは6月から10月。

 花

 ちなみに、
 アザミ
 キク科アザミ属の総称。多年生草本で日本に約60種ある。葉はギザギザで棘が多い。モリアザミ・ハマアザミ、タイアザミなどの種がある。
 記:島乃ガジ丸 2005.7.29  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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