アオノリュウゼツラン
 園芸屋さんに行くと、リュウゼツラン科の植物の鉢物を多く見る。リュウゼツラン科の植物の多くが乾燥に強く、耐陰性もあるので室内観葉植物に適しているからだ。
 リュウゼツラン科にはアガベ属、トックリラン属、コルディリネ属、ドラセナ属、サンセベリア属、ユッカ属などが含まれている。この中ではドラセナ属の仲間が商品として最も多く、ドラセナという名前そのものも有名である。あとの属では、トックリランはトックリラン、コルディリネはセンネンボクの仲間、サンセベリアはチトセラン(トラノオ)の仲間、ユッカはキミガヨランの仲間であって、それらの名前もまあまあ有名である。
 残りのアガベ、「確か、キリスト教の中にそんなのがあったぞ。神の愛という意味だったぞ。アガベとエロスなんて言葉もあったぞ」なんてことを私は思った。で、調べる。神の愛はアガベではなく、アガペーだった。アガベはAgaveと書き、アガベ属という学名。和語で言うところのリュウゼツラン属のことであった。

 アオノリュウゼツランは、観葉植物でよく見るリュウゼツラン、フイリリュウゼツランの基本種であり、リュウゼツランという名前からしてリュウゼツラン科の本家本元と言ってもいい。本家本元は、センネンボク、ドラセナ、チトセラン、ユッカなどに比べ観葉植物としてはマイナーであるが、しかし、庭にあってはどれよりも魅力がある。青々とした厚葉をどっしりと地に生やして、見事な風格なのである。

 アオノリュウゼツラン(青の竜舌蘭):添景
 リュウゼツラン科の常緑多年草 原産分布はメキシコ 方言名:トゥンビン
 リュウゼツランと形質はほとんど似る。リュウゼツランは葉の縁に黄色の斑が入るが、本種は斑が無く一面緑色。名前はそこから来ている。リュウゼツランには無いが、本種には方言名がある。本種の方が沖縄に古くからあったのかもしれない。方言名は他にルグヮイともある。アロエのこともルグヮイと言う。両者が見た目似ているからであろう。
 本種はまた、リュウゼツランに比べ全体的に大きく、葉の高さも2m近くになり、花茎は高さ5〜6mにまで伸びる。陽光地、乾燥地を好む。耐潮風性が強い。繊維が採れ、テキーラの原料となる。葉の縁と先端には鋭い棘がある。開花はまれ、開花した株は枯れ死する。などなどの形質はリュウゼツランと一緒。

 花茎

 花序

 花
 記:島乃ガジ丸 2006.2.13  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インテリア・グリーン協会編、小川茂男発行
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