アマリリス
 その植物は、地下に大きな球根ができ、人間は食べないが、動物たちにとっては百合の根と同じくらい美味しいものであった。むかしむかしのある日、10匹のリスが野原に出て、その植物の球根を食べようと、皆で掘り出した。ところが、球根はキュウコンしか、もとい、9個しか無かった。1匹のリスだけが球根にありつけなかった。1匹のリスが余った。というところから、この植物の名前が余りリス、アマリリスとなった。
 という話は、もちろんウソ。アマリリスの学名はHippeastrum×hybridum Hort.と言う。学名の中に×があると、これは何かと何かを掛け合わせたということになり、園芸品種であるなと想像できる。で、その通り、アマリリスは園芸品種で、いくつかの品種の総称とのこと。アマリリスという名前は、いかなる理由か(まあ、似ているのではあろうけど)は解らぬが、別属のホンアマリリスという植物に由来していそうなのである。
 このHPを始める前までは、一つの植物についていちいち深く考えたことが無く、先週紹介したタチアオイと同じく、アマリリスもまた小学校の花壇でよく見かけた花であることを、本稿を書き始めてから思い出した。アマリリスという題の歌が、確か小学校の音楽の教科書にあったこともおぼろげに思い出した。どんな歌だったかは記憶に全く無い。

 アマリリス(amaryllis):花壇・鉢物
 ヒガンバナ科の多年草 熱帯アメリカ産の数種の園芸種 方言名:アカユイ
 アマリリスは「熱帯アメリカ産のヒガンバナ科ヒペアストラム属の数種を交雑した園芸品種の総称」(広辞苑)とのことだが、その名前はおそらく、別属で南アメリカ原産のホンアマリリス(Amaryllis belladonna L.)の学名からきたものと考えられる。学名については勉強不足なので、それが確かなのかどうかについては自信が無い。方言名のアカユイは赤い百合ということ。方言の専門家でも無いが、これはきっと間違いない。
 高さ50センチほどに伸びた花茎の先に2、3個の花を外向きにつける。多くの品種があり、花色は赤、桃、白、赤に白条の入ったものなど。開花期は春、または夏。

 花

 ちなみに、
 ホンアマリリス
 ヒガンバナ科の多年草 南アフリカ原産
 高さ50センチほどに伸びた花茎の先に緋色や紅色の花をつける。一属一種。
 記:島乃ガジ丸 2006.8.27  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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