ウコンイソマツ
 「最近、肝臓がちょっと・・・」と同級生が言う。我々は、頭髪が薄くなったり、白髪が面積の半分以上を占めたり、皺が増え、肉が弛んで来たりしている他、体のあちこちに不具合の出る年齢となっている。
 「酒飲む時は、ウコンの錠剤とかドリンクを飲むようにしている。」と彼は続ける。ウコンは、ウチナーンチュはウッチンと呼んで、慣れ親しい。肝臓の働きを良くするという生薬である。ウコンを服用して酒を飲むと、悪酔いしないとのことだ。
 私は、歯医者を除いて病院へも長く行っていないが、風邪薬や胃薬などといった薬の類もここ数年間は飲んでいない。我が身の自然治癒力を鍛えているつもりである。
 薬だけじゃなく、サプリメントの類も飲まない。ウコンの力を借りて酒を飲む、というのが、何か釈然としないのである。私は私の力で酒を飲みたい。力の及ぶ範囲の量で我慢し、力が無ければ飲まない。との思いである。カッコイイ、と自分で思っている。
 ウコンイソマツは、名前にウコンと付いているが、ウコンとは親戚でも何でも無い。花の色が黄色いことから、黄色の代名詞となっているウコンをいただいている。ウコンイソマツも薬用に用いられる。高血圧に効果があるらしい。覚えておこう。科学的な薬品に頼るよりも、生薬の方が体に優しい感じがする。いつか世話になるであろう。

 ウコンイソマツ(鬱金磯松):盆栽・薬用
 イソマツ科の常緑低木 沖永良部、与論、沖縄島に分布 方言名:ウミマーチ
 イソマツが広辞苑にあった。磯松と書き、「イソマツ科の多年草。暖地の海岸に生え、高さ約15センチメートル、・・・古い部分は木本状で、皮がクロマツの幹に似る」とその名前の由来が載っていた。ウコンはウチナーンチュにはお馴染みの鬱金、鬱金色という色名があって、「ウコンの根茎で染めた濃い鮮黄色」(広辞苑)のこと。イソマツの花は淡紫色だが、本種は黄色、ということでウコンと付く。
 広辞苑では多年草、つまり草本としているが、私が参考にしている文献にはいずれも小低木とあったので、それに従う。
 高さは10〜30センチ。盆栽によく用いられるとのこと。海岸の岩場に生えているのをよく見かける。盆栽の他、薬用にも利用されるらしい。開花期についての資料は無かったが、文献の写真は10月、私が見たのは9月。
 本種は沖永良部、与論、沖縄島の固有種とのこと。イソマツを私はまだ見たことが無いが、イソマツは先島(宮古八重山)と久米島に分布し、沖縄島には無いようだ。
 ウコン色をしたイソマツという名前からすると、本種はイソマツの亜種だと思われるのだが、『沖縄植物野外活用図鑑』に両者の学名があって、
 本種は、Limonium wrightii O.K.
 イソマツは、Limonium wrightii O.K.の後にf.arbusculum Hatusimaと付く。

 花
 記:島乃ガジ丸 2007.12.31  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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