テリハノイバラ
 1月から数年ぶりに「じっくり散歩」を再開しているが、この2ヶ月で1時間以上の散歩を20回ほどやっている。散歩する目的は腰痛改善が第一なのだが、体全体の健康のためでもある。散歩場所は家の近辺ではなくほとんどは公園。コンクリートとアスファルトの中ではなく、樹木に囲まれた森林公園とか海辺の海浜公園。空気の良い所。
 再開散歩が10回を超えたあたりから気付いたことがある。良い空気が体の健康に良い影響を与えているのではないか、心の健康にも良いのではないかと。・・・話が違う方向に行ってしまうので、その話はちょいと横に置いといて、先日、潮風に吹かれながら浜辺を歩いていたら、なかなか治らぬ腰痛のことも忘れて気分が良くなった。それで、家に帰って思ったのが、空気の良い所にいれば体も心も良い状態になるということ。

 「先日、潮風に吹かれながら浜辺を歩いて」の浜辺は県立総合運動公園の浜辺。その一角にバラに似た白い花が多く咲いているのが見えた。花はこんもりと茂った枝葉の中にポツンポツンといくつもある。「何だ?」と近付いて花に手を伸ばした。「痛っ」と声が出そうになった。枝には鋭い棘があってそれが手先に刺さった。刺さって思い出す。
 「これは前に見たことあるな、ノイバラではなかったかな」と。
 2012年4月に粟国島を旅した。そこで見たのではないかと家に帰ってパソコンの画像フォルダの、旅写真フォルダの、粟国島フォルダを調べる。あった。記憶力の弱い私がよくも粟国島を思い出したもんだと自画自賛。粟国島の旅は美女と一緒だった、ということで記憶に強く残っていたというわけ。美女に棘はなく、楽しい旅であった。 
 テリハノイバラ(照葉野茨):海岸植栽
 バラ科の常緑匍匐性低木 本州〜沖縄諸島、与那国に分布 方言名:ンディー
 名前の由来は『沖縄四季の花木』に「和名は照葉野薔薇の意味と言われる」とあった。葉に照りがあるので「照葉」は間違いないと思われるが、ノイバラは少し違っている。ノイバラは野茨と漢字表記し、茨(いばら)は「とげのある低木の総称」(明鏡国語辞典)なので「野生する茨」の意でノイバラ(野茨)だと思われる。ただし、野薔薇は「ノイバラの別称」ともあるので、『沖縄四季の花木』の説明も間違いではない。
 方言名のンディーは棘という意。別にサラカチャーともあるが、これはサルカケミカン
の方言名でもあり、「猿を引っ掛けるもの」という意とのこと。
 「海岸近くの原野に生える」と文献にあったが、私が見たのは海岸の砂浜。白い花に気付いて手を伸ばしたら「痛っ」となった。枝に鋭い棘が多くある。枝は多く分枝して細く匍匐する。葉は奇数羽状複葉で、小葉は3〜4対、長さ1〜2.5センチで、縁は粗い鋸歯があり、表面は照りがある。花は白色、径3〜4センチ、花弁は5枚、芳香がある。開花期は春。実は赤く熟し、長さ1センチほど。栽培品種のツルバラの親。
 なお、九州南部〜琉球産のものは亜種リュウキュウテリハノイバラとのこと。 
 花
 
 粟国産 
 粟国産の花
 記:島乃ガジ丸 2019.2.10  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
 『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
 『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
 『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
 『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
 『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
 『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
 『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
 『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行
 『自分で採れる薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
 『家庭で使える薬用植物大図鑑』田中孝治著、社団法人家の光協会発行
 
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