ターネラウルミフォリア
 今年の初め、このHPにたびたび登場する三段腹E子が、「あんた、これ覚えて私に教えてくれない?」と一冊の本を渡した。『イラストレーター』の参考書である。自分で本を読んで理解するのが面倒だからという甘い考えなのである。もちろん、自分の役には立たない勉強をする暇は私に無いので、無下に断る。「努力せい!」である。
 で、しょうがなく努力を続けた結果、E子は『イラストレーター』をある程度使いこなせるようになっている。「お金になると思ったら、一所懸命になるさあ」とのこと。そういうタイプの人であろうとは思っていたが、まさしく実利主義なのである。

 金曜日の職場は宜野湾市にある。その周辺のあちらこちらで、数年前からよく見かける花がある。やや大きめの鮮やかな黄色の花が、多数枝分かれしたその先々で咲いているのでよく目立つ。写真も既に2005年4月以降数枚撮っている。気にはなっていたが、参考にしているどの文献にも記載が無く、ずっと正体不明のままであった。
 去年のある日、E子の店先にあるプランターに同じ花を見つけた。「おっ、良かった。これでこの植物の名前がわかる」と思い、E子に名前を訊く。「園芸店で私が買ったんだけどさあ、名前は覚えてないさあ、いいさあ、花がきれいであれば。」とのこと。まさしく名より実の人なのである。というわけで、花の名前は判らないままであった。
 きっと最近入ってきた植物であろうと思い、今回新しく『亜熱帯沖縄の花』を参考文献にした。同書は2006年の発行である。調べる。あった。ターネラウルミフォリアという名前。その説明文にも「最近よく見かけるようになった花」と書かれてあった。

 ターネラウルミフォリア(Turnera ulmifolia):鉢物・添景
 ターネラ科の常緑低木 原産分布はメキシコ〜南米、西印諸島 方言名:なし
 ターネラウルミフォリアという覚えにくい名前は学名のTurnera ulmifoliaから。今回新しく参考文献にした『亜熱帯沖縄の花』に「最近よく見かけるようになった花だが和名はまだ付いていないようである。」とあった。
 同書にはまた、「園芸店ではイエロークイーンという名前」とあったが、2軒の園芸店で確認したところ、そういう名前は無かった。私が確認した限りでは、園芸店ではターネラという名前であった。念のため、ネットでも調べてみた。ネットのいくつかのサイトではターネラウルミフォリア、またはターネラとあった。
 分枝が多く、ハイビスカスを細くしたような葉をたくさんつけ、全体にこんもりとした形になる。高さについて文献には無かったが、私の見る限りでは50センチ程度。
 分かれた枝の先々に花をつける。やや大きめの鮮やかな黄色の花はよく目立つ。朝花を開き、夕方にはしぼみ、翌日にはまた開く。開花期は、本土では初夏から秋口のようだが、沖縄では周年。

 花
 記:島乃ガジ丸 2007.6.2  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
inserted by FC2 system