スイフヨウ
 スイと聞くと、先ず、水(みず)を連想する。水は人が生きていく上では欠かせないものだからである。次に水曜日を連想する。月曜から水曜まで休肝日にしている私は、水曜日の夜、その寝る前が最も幸せな時となっている。「明日は飲めるぞ」って思うだけで嬉しくなる。おそらく、その時の私は、だらしなく顔が緩んでいるに違いない。
 スイはまた、粋を連想する。粋(いき)なオジサンになりたいと常々思っているからだが、残念ながら今のところ、思っているだけで終わっている。

 スイフヨウのスイは酔ということだが、その意味は下記に書いてある通り、酒に酔った状態に喩えてとのこと。面白い喩えで、私好みの名前である。ではあるが、その酔という字、これはスイと聞いて私が連想する順番では吸(息を吸うというとても大事なこと、唇を吸うということも大事)の次、5番目となる。酒が好きなのに意外と思われるかもしれないが、酔からは泥酔、酔拳くらいしか思いつかない。
 ところが、酔をヨイと読むならば話は違う。ヨイを漢字変換すると、良い、好い、宵など有名な字がいくつか出てくるが、ヨイを見て真っ先に私の頭に浮かぶのは、ほとんど間違いなく「酔い」となる。酒に酔い、音楽に酔い、妄想に酔う。スイフヨウもヨイフヨウという名前にすれば、私に忘れ去られることはなかろう。

 スイフヨウ(酔芙蓉):添景
 アオイ科の落葉中木 原産分布は本州以南、南西諸島、他 方言名:フユー
 フヨウの1品種。花の色が咲き始めは白で、夕方になると紅色に変化する。それを。酒を飲んでしだいに顔が紅くなることに喩えてスイ(酔)とつく。フヨウは白から桃色に変化するらしいので、ほろ酔いとなるが、本種の方は本格的に酔っていることになる。
 フヨウと同じく一日花、朝に咲いて夜にはしぼむ。一重のフヨウに対し、こちらは八重咲きの花。オジサンの好きな酔だが、子供には覚えにくいかも。八重咲きフヨウか、または、葉の切れ方が深いので、楓葉フヨウという名前で良かったのではないか。
 高さは3mほどになり、陽光地を好む。八重咲き花は大きく優雅で、葉はフヨウより一回り大きい。当年枝に花芽がつく。開花期は10月から12月。

 朝の花

 夕の花
 記:島乃ガジ丸 2006.11.1  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
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