シコンノボタン
 私は十分にオジサンという歳であるけれども悲しいかな(楽なんだけれど)一人暮らしである。カッコの中に「楽なんだけれど」と書いたのには理由(わけ)がある。私は料理が好きなので毎日三食の飯を作るのを苦痛としていない。掃除は好きでないけれど、汚れた部屋にいることを苦痛としていない。洗濯も面倒なことだと思っているが、洗濯機がやってくれるので、さほど苦痛では無い。アイロンの必要な服を着ることは滅多に無い(1年に1回あるかないか)ので、アイロンがけすることも無い。なもんで、楽である。
 私は十分にオジサンという歳である、がゆえに老眼である。老眼鏡を持ってはいるが、ケースから出すのが面倒なのでほとんど使っていない。針に糸を通すときは老眼鏡が必要であるが、その時も面倒臭がって老眼鏡を使わない。しばらく挑戦するが、結果として針に糸は通らないことになる。結果として、縫い物はできないということになる。
 ボタンの取れたシャツが3枚ある。3枚ともボタンが取れたのはもう2、3年以上も前のことである。ボタンが1つ取れたくらいでは着るのに何の支障も無いので、構わずそのまま着ている。ボタンの取れたズボンも1着ある。これも、チャック(今時はジッパーと言うのか)は元気だし、ボタンの箇所はベルトで隠れるので、構わず穿いている。
 取れた4つのボタンは一応保管してある。小物入れの小さな抽斗(ひきだし)に入っている。これらのボタンを私は、ミコンノボタン(未婚の釦)と呼んでいる。

 植物のシコンノボタン、シコンとボタンの間にある”ノ”は、”未婚の釦”の”の”とは違い、所有や同格を表す助詞では無い。じつは、紫紺色の野牡丹ということで、同格の助詞”の”を間に入れたいところであるが、シコンノノボタンでは口が回り辛い。名前をつけた人もきっとそう思って、”の”を省いたのだと思う。・・・違うかな。

 シコンノボタン(紫紺野牡丹):花壇・鉢物
 ノボタン科の常緑低木 ブラジル東南部原産 方言名:なし
 園芸店で鉢物として売られているのをよく見る。その名前がノボタンとなっていることが多いが、ノボタンは沖縄を含むアジアの産で、両者は同じ科でも属が違う。
 花の色が紫紺で、花や葉の形状がノボタンによく似たノボタン科の植物、というわけでシコンノボタンという名。花や葉がノボタンより少し小ぶりであるという違いがある。
 ブラジル原産という熱帯性の植物であるが、耐寒性も少々あるようで、日本の暖地(九州とか四国とか)では露地でも生育するとある。もちろん、沖縄の露地では堂々と生育する。民家の庭先や公園の花壇などでよく見かける。開花期は7月から11月。
 英語名にGlory bushとあるように潅木性となる。Gloryは「栄光の」といった意。
 記:島乃ガジ丸 2005.11.14  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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