ニセエランセマム
 ニセエランセマムを調べていて、最初の「ニセ」は「偽」としか思い浮かばなかった。エランセマムという植物の偽物ということだ。しかし、それではニセエランセマムに対し失礼である。で、もう少し考える。「ニセ」は「似せ」かもしれないと閃く。
 「似せる」は「互いに同じさまに見えるようにする」ということ。「似せているけど、そのものと偽るつもりはない」と理解する。ただし、元々、似せるということから「偽(にせ)」という言葉ができているらしい。偽(贋とも)は、「本物のように見せかけること。また、そのもの。」、または「本物に似せて、いつわること。また、そのもの。」(広辞苑)のこと。「似せて偽(いつわ)る」と偽物ということのようだ。
 エランセマムという植物は『沖縄の都市緑化植物図鑑』にエランセマム・トリカラーという名の植物があった。その名前は学名のEranthemum tricolorからきている。
 ニセエランセマムの属名はPseuderanthemum。エランセマム(eranthemum)にPseudが付いている。ラテン語を私は理解できないが、Pseudがおそらく「似せ」という意味なのではないかと推測する。ところがどっこいしょなのであった。
 エランセマム・トリカラーの英名がPurpul false eranthemumなのである。紫色した偽のエランセマムということだ。学名にEranthemumとあるものが、何故、偽のエランセマムとなるのか意味不明。頭が混乱する。私には理解不能。お手上げ。よって、ニセエランセマムのニセについて、「似せ」か「偽」か、または別の意味なのか不明。

 『沖縄の都市緑化植物図鑑』にニセエランセマム属は本種を含め3種紹介されている。そのうち1種は既に紹介済みのムラサキドリピー(ニセエランセマム・ラキシフロラム)、もう1種は、まだお目にかかっていないニセエランセマム・キューエンセ。

 ニセエランセマム(Pseuderanthemum):鉢物・添景・生垣
 キツネノマゴ科の常緑低木 原産分布はポリネシア 方言名:なし
 ニセエランセマムという分り難い名前の由来は不明。学名の属名がPseuderanthemumとなっている。eranthemumはエランセマムと読める。Pseudはニセとは読めない。
 同じPseuderanthemum属に、既に紹介済みのムラサキドリピーがある。そういった覚えやすい名前にしてくれないかと思う。本種はP.reticulatum、ドリピーはP.Laxiflorum
 茎頂の葉が黄色く観賞価値となっている。日当たりの良い場所にあると、その黄色が一段と鮮やかになるとのこと。花も独特の形をしていて面白い。茎の先に花穂を伸ばして十字型の花がいくつもかたまって付く。開花期は6月から12月。
 根元から分枝し株立ち状となり、全体にこんもりとした形になる。庭の添景として使いやすい。刈込みが効くので生垣にも向く。高さは150センチほど。

 花
 
 花(海洋博公園で)
 記:島乃ガジ丸 2007.6.9  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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