ミツバハマゴウ
 「あんた、口臭いわよ。」と先日、姉に言われるまで、私は自分の口が臭いということに気付かなかった。現場仕事でびっしょり汗に濡れたTシャツが洗濯機の傍に置かれ、翌朝それが臭いということに気付き、「あー、これが加齢臭か。」と認識はするが、普段の自分が加齢臭を発しているということに私は気付いていない。部屋で屁をこいても、それが臭いということもあまり感じない。どうも、自ら発する匂いには鈍感なようである。
 (注、以下は成人向きの文章なので、お子様には読ませないで下さい)

 若い頃、初体験の相手だった彼女とめくるめく愛欲の日々を過ごした。いろんなことを試してみたい私はあんな格好、こんな格好、あんな場所、こんな場所と彼女にいろいろ注文をつける。そんなある日、「舐めてみたい」と言い、嫌がる彼女を、「お願い」と拝み倒して「舐める」を初体験する。しかしそれは、あまりの臭さに数秒と持たなかった。ゲホッ、ゲホッとむせる私に「だから言ったでしょう!」と彼女は怒ったのであった。それがトラウマとなり、以来、私は女性のあそこが舐められないでいる。
 植物のハマゴウのことを、ウチナーグチ(沖縄口)ではホーガーギーと言う。ウチナーグチに精通しているわけでは無いので、私の推測があっているかどうか自信は無いが、ホーガーギーはおそらく、女性のあそこの匂いのする木ということだと思われる。「葉には強い臭気があり」と文献にある。何とも失礼な名前なのである。

 先日、ミツバハマゴウの枝を折って現場に持っていく。10時休みに同僚たちと共にその匂いを嗅いでみた。ミツバハマゴウの葉はミントのような薬草系の匂いがした。どちらかというと良い香りである。これが、あそこの匂いに近いかどうかについては、経験の浅い私には判断できなかった。同僚たちも「?」とのことであった。

 ミツバハマゴウ(三葉蔓荊):添景・生垣
 クマツヅラ科の常緑低木 日本では琉球列島に分布 方言名:ホーガーギー、ホーガー
 同じクマツヅラ科の常緑蔓性低木ハマゴウと同属で、ハマゴウが蔓性なのに対し、本種は直立して高さ3m内外になる。葉は単葉または三出複葉とあり、その三出複葉から三つ葉とついて、ミツバハマゴウという名前。ハマゴウについては、ハマゴウの項で述べているが、ハマは浜だと推測できるが、ゴウは不明。漢字の蔓荊は漢名。
 方言名のホーガーギーは上述の通りホー(女性器)、ガー(香り)、ギー(木)ではないかと私は推測するが、確かでは無い。文献には「葉には強い臭気があり」とあったが、私の実体験ではミントに近い匂い。なので、私の推測、きっと間違っている。
 「葉には強い臭気があり」と文献にあり、「虫除けに用いられるほど」ともあった。別の文献には、「葉はヨモギに似た香りがあり、薬用に利用される」とあった。
 高さ3m内外で、枝が暴れることもないようで、民家の小さな庭でも添景や生垣として使いやすい。温帯気候の本土では落葉のようだが、亜熱帯の沖縄では常緑。
 花は紫色で、枝の先にいくつもかたまってつく。開花期は5月から7月。
 学名、ハマゴウはVitex rotundifolia ミツバハマゴウはVitex trifolia

 花
 記:島乃ガジ丸 2007.8.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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