キツネノヒガサ
 狐という名の付く言葉が日本語にいくつもある。いずれも広辞苑から、
 狐の孫
 キツネノマゴ科の一年草。・・・春、若葉を食用にする。
 狐の剃刀
 ヒガンバナ科の多年草。・・・6弁で黄赤色。有毒植物。
 狐の手袋
 ジギタリス属の多年草。・・・葉を陰干しにして強心剤とするが劇毒。
 狐の牡丹
 キンポウゲ科の越年草。・・・花は春から秋にかけて咲き、黄緑色5弁、・・・

 など、植物だけ(他にキノコ類にもある)でも以上のようなものがある。植物では無いが、狐の嫁入りという言葉もある。同じく広辞苑から、
 狐火が多く連なって嫁入り行列の提灯のように見えるもの。
 日が照っているのに雨の降る天気。
のこと。以上のことから、狐は、日本人にとって身近な動物であることがよく分る。

 沖縄では、狐は身近な動物では無い。沖縄に生息(自然では、動物園にはいるかも)しない。沖縄大百科事典にも狐の記載は無く、狐の付く言葉も無い。狐の嫁入りのことはティーダアミ(天気雨)と言う。ちなみに、狸も沖縄には生息しない。狸寝入りのことはニンタフーナー(寝たふり)と言う。ただし、ほとんどのウチナーンチュは狐も狸も子供の頃からよく知っている。物語やテレビによく登場するからだ。

 キツネノヒガサ(狐の日傘):花壇・鉢物
 キツネノマゴ科の常緑低木 原産地はインド、南米 方言名:不詳
 キツネノヒガサの他に、ジョウゴバナ、ヘリトリオシベ、クロサンドラという名前を持っている。クロサンドラは属名のCrossandraからで、園芸店の鉢物はこの名が多いようである。キツネノヒガサは花の形を小さな日傘に見立ててのこと。ジョウゴバナとヘリトリオシベについては資料が無いが、ジョウゴバナは花の形を漏斗に見立てたと思われる。ヘリトリオシベは、上部を切り取られたみたいな花の形なので縁取、オシベは不明。
 高さは1mほど。葉には光沢がある。葉の付け根から苞を伸ばし、その苞から花が数個ずつ次々とが出る。開花期についての資料は無いが、実家のものは4月に咲いていて、夏の間ずっと咲いていて、今(10月)も咲いている。よって、春から晩秋ということにしておく。花色は文献の写真、海軍壕公園で見たものは橙色、実家のものは黄色。

 橙花

 黄花
 記:島乃ガジ丸 2008.11.3  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
inserted by FC2 system