ヒメアリアケカズラ
 今でもそうか未確認だが、那覇空港から那覇市街へ向かう道、春から秋にかけて、ラッパ状をした大きな黄色の花が多く咲いて、目立つ。その花は、街路樹だけで無く、公園にも多くあり、また、民家の庭でもよく見かけ、同じように目立っている。
 その花、大きさに大小があるということは何となく気付いていたが、色形はほぼ同じなので、全てアラマンダという名前で、私は認識していた。
 ところが、調べてみると、『沖縄の都市緑化植物図鑑』のオオバナアリアケカズラの頁には、他に4種類が紹介されてある。その内、ヤエアリアケカズラはその名の通り八重咲きなので容易に区別が付くが、他は似ている。花の大きさだけが違うみたいである。
 ところが、念のためにと『沖縄園芸百科』を見たら、ヒメアリアケカズラは他のアラマンダと違って、ツル性では無く低木状とあった。そういう違いもあるのかと思いつつ学名を見ると、ヒメアリアケカズラは他のアラマンダと種名も異なっていた。
 ヒメアリアケカズラは今年(2008年)5月に金城ダム公園で発見し、写真を撮ってある。見てすぐに、それがヒメアリアケカズラであると認識できたわけでは無い。花の大きさから言えばコバナアリアケかもと思う。しかし、そういう迷いは無用であった。なぜなら、傍に「ヒメアリアケカズラ」と名札があったから。名札は有り難い。
 ヒメアリアケカズラの特徴として「濃黄色で「のど」の部分に赤茶色の斑紋が入り」とあり、それはその通り。コバナアリアケカズラとの違いも、写真を見比べればはっきりしている。ロート上の根元が、ヒメは太く、コバナはごく細い。

 ヒメアリアケカズラ(姫有明蔓):添景
 キョウチクトウ科の常緑低木 ブラジル原産 方言名:なし
 アリアケカズラとは別種だが、見た目がアリアケカズラに似て、花径7センチ内外のアリアケカズラに比べ、本種は3〜5センチと小さいことからヒメと付く。金城ダム公園の名札にはヒメアリアケカズラとあったが、別の公園の名札にはコダチアリアケカズラとあった。それは間違いでは無い。別名をコダチアリアケカズラという。
 アリアケカズラはツル性だが、本種は低木状となる。ならば、カズラと名付けるのは不適当であり、そもそも、木立で蔓は矛盾すると思うのだが、名前は名前として独立し、そこに本来の言葉の意味は付加しない、ということである。なお、「低木状となる」とは文献にあったのだが、私が見たものはヒメもコダチも半ツル性といった形状であった。
 花は枝の先端に数個ずつ集まって付く。色は濃黄色、形はラッパ状で、この辺りはアリアケカズラによく似ている。開花期は4月から10月。
 「長い刺で覆われた栗のイガのような形をした果実をつけ、中に偏平な種子が入っている。」とのことだが、果実はまだ見たことが無いので、未確認。
 ちなみに、学名。
 ヒメアリアケカズラAllamanda neriifolia
 アリアケカズラAllamanda cathartica
 オオバナアリアケカズラAllamanda cathartica L. cv. 'Hendersonii'
 コバナアリアケカズラAllamanda cathartica cv. 'Williamsii'
 ヤエアリアケカズラAllamanda cathartica cv. 'Stanstill's Double'

 花
 記:島乃ガジ丸 2008.10.25  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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