ハクチョウゲ
 ホームページの記事を書く上で私は、下欄に記した文献等の他に、広辞苑のお世話にも大いになっている。漢字を調べたり、「この言葉、こんな使い方で良かったかな」というのもたくさんあって、それを確認したり、また、関連する言葉をついでに調べたりもしている。植物や動物を知るようになっただけでなく、言葉の知識も増えつつある。
 ハクチョウゲの字を調べると白丁花とあった。白丁って何?・・・調べる。
 白丁は「律令制で、公けの資格を一切持たない無位無官の一般男子。」(広辞苑)とあった。であるが、それが花の名前では意味不明。で、インターネットで調べる。白丁は、韓国では日本の穢多(えた)や非人(ひにん)のように差別された最下層の人を指す言葉であった。ハクチョウゲはきれいな花だ。最下層に喩えられることはあるまい。と、そこで、ふと閃いた。白丁の花では無く、白い丁花なのではないかと。
 ハクチョウゲの関連からジンチョウゲを調べ、ジンチョウゲの関連から沈香(じんこう)という植物まで調べた。その沈香、香料となるらしい。沈香の使われてることわざもあった。『沈香も焚かず屁もひらず』という。「特によいところもなければ悪いところもなく、平々凡々であることにいう。」(広辞苑)とのこと。沈香を判りやすい言葉に言い換えれば、「香水もつけず屁もひらず」となるだろうか。

 ハクチョウゲ(白丁花):添景・生垣
 アカネ科の常緑低木 中国原産 方言名:バンティーシ
 花の色形が白鳥に似ているから、なのでは無くて、漢字では白丁花と書く。花という字をゲと読む・・・こともある。レンゲソウは蓮華草と書き、蓮華のような草ということだが、蓮華は字の通りハスの花のことを指す。華は花と概ね同意。ジンチョウゲも沈丁花と書き、花をゲと読む。香りが沈香という香木に似て、葉の形がチョウジ(クローブ)に似ているから沈丁花らしい。ハクチョウゲも白丁が一つの言葉では無く、“白”い花が咲き、葉が“丁”子(チョウジ)に似ているからということなのではないか。
 高さは1mほど。分枝が多く、強剪定に耐えるので、生垣や玉作りに使い良い。耐陰性があるので高木の陰となる場所でも成育する。潮風に弱いので海岸近くの植栽には向かない。花は白色で小さいが、多く咲くので目立つ。開花期は5月から8月。

 花

 ちなみに、
 ジンチョウゲ(沈丁花)
 ジンチョウゲ科の常緑低木 中国原産 方言名:なし
 高さ1m。花は内は白、外は白か紫赤色で、数個が固まって春に咲く。香気が強い。

 ジンコウ(沈香)
 ジンチョウゲ科の常緑高木。熱帯アジア原産
 広辞苑に「水に沈むので沈という」とあった。花は白色。材が香料となる。その最高級品は伽羅(きゃら)と呼ばれる。

 チョウジ(丁子・丁字)
 フトモモ科の常緑高木。モルッカ諸島原産。
 クローブという名前で知られている。生薬、香辛料として古くから使われている。
 記:島乃ガジ丸 2006.7.12  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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