ビヨウヤナギ
 植物に名前をつける人というのは、そりゃあもう有史以前から不特定多数いて、特に花の目立つ植物などは、あちこちでいろんな人がいろんな名前をつけたに違いない。そんな中から、人々の支持を多く集めたものが今日まで残って、和名となったのだろう。
 あいにく私は、植物名の語源に関する文献を持っていない。よって、語源についてまでをこのHPで言及することはやろうとは思っていない。特別に興味をもった植物名などはたまに、図書館から語源に関する本を借りて、読んだりはしているが、そういった本でも、正確なところは不明といった植物が多くある。おそらく、どこかの小さな村で、古語か方言かでつけた名前がひょんなことからメジャーになったということもあるのだろう。
 ビヨウヤナギのビヨウを、最初、「葉が美しい」という意で美葉なのかと想像していたら、広辞苑によるとビヨウの字は未央とある。「何だ?それ」なのである。未央は広辞苑に無く、何のことかすぐには判らない。その点、ビヨウヤナギに近い種であるキンシバイは判りやすい。黄色で、雄しべが糸のようで、梅のような花、で、金糸梅。こんな名前をつける人は、芸術よりも科学を愛する人に違いないのだ。私の頭もすっきりする。

 ビヨウヤナギ(未央柳):花壇・生垣
 オトギリソウ科の低木 中国原産 方言名:チンシチュー
 本土では半落葉とあったが、沖縄では落葉しないようである。開花期については文献に具体的な記載が無く、「夏になると咲く」とだけあった。しかし、その本の写真は5月のもの。私が名古屋で撮った写真は6月の初めのもの。開花期は初夏とした方がいいかも。
 ビヨウヤナギのヤナギは、葉がヤナギに似ているからであろうが、ビヨウって何?
 未央とは白楽天の「長恨歌」に出てくる未央宮という宮殿のことらしい。宮殿には柳が植えられていて、楊貴妃の眉はその柳の葉のように美しいと、あの有名な長恨歌に謳われているとのこと。ビヨウヤナギが、そんな話と何か関わりがあるのかどうか?
 高さはせいぜい1mほどにしかならない。低木のわりには、花は大きい。枝分かれが多く、その枝先に花をつけるので花数も多い。深黄色で目立つ。
 ちなみに、ヤナギの眉の楊貴妃、その顔はフヨウ(芙蓉)に喩えられている。

 花

 沖縄産

 沖縄産の花

 キンシバイ(金糸梅):花壇・生垣
 オトギリソウ科の半落葉低木 中国原産 方言名:なし
 参考にしている文献に記載が無く、沖縄にあるかどうか不明。高さ1mほどになり、根元からたくさんの枝を出し、枝垂れる。夏に光沢のある黄色花を開く。
 記:島乃ガジ丸 2005.9.4  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
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