アコン
 このHPを始めてから丸4年が経った。その間、600種近くの植物を紹介してきた。してきたが、おそらく私は、その半分も記憶に残っていない。元々忘れっぽい性格なのである。短期集中型脳味噌なのである。恋愛も短期集中型なので長続きしない。
 忘れっぽい性格だが、子供の頃から馴染みのある植物は覚えていて、また、特別変わった樹姿、花、果実をした植物は記憶に残っている。特別変わった植物については、4年の間、植物に関する図鑑に何度も目を通してきたお陰で、まだ実物を見ていないにも関わらず、脳味噌にその姿が焼き付いているのもいくつかある。

 先日、宮崎から友人のIが訪ねてきた時、海洋博公園の、全国的に有名であり、人気もある「ちゅら海水族館」へ案内した。「ちゅら海水族館」は、私は数度観ているので、彼一人中へ入り、その間、私は海洋博公園の散策に充てた。
 ツマベニチョウを見つけ、その近くでギョボクを見つけた。ソテツを枯らしているということで話題となっているクロマダラシジミも見つけ、ナガサキアゲハの写真も撮れた。そんなこんなしながら1時間余りも歩いた辺りで、カバマダラ、オウゴマダラ、アサギマダラ、ツマムラサキマダラなどが乱舞している景色に出くわす。
     
 そこで、最も私の目を引いたものは乱舞する蝶では無く、一本の木、その花。まだ実物を見ていないにも関わらず、脳味噌にその姿が焼き付いているものの一つ、アコン。
 近付くとその葉にはカバマダラの幼虫がたくさんたかっていた。花の蜜は蝶たちのご馳走になり、葉は幼虫の食い物となる。何とも世の役に立っている植物であった。

 アコン:添景・生垣
 ガガイモ科の常緑低木 インド〜東南アジアに分布 方言名:なし
 亜紺などという漢字を充てたくなるが、アコンの名前の由来は不明。学名でも無ければ英名でも無い。おそらく、インド〜東南アジア辺りの現地語だと思われる。別名をクラウンプラントというが、これは英名のCrown plantから。英名の由来は、花が王冠にみえることからきている。ちなみに、学名はCalotropis gigantea (L.)。
 高さは3mほど。萌芽力が強いので適宜の剪定を要するが、庭の添景や生垣に向く。陽光地を好み、多湿を嫌う。樹液は有毒。カバマダラの食草となっている。カバマダラの食草と言えばトウワタが有名だが、トウワタもガガイモ科(別属Asclepias syriaca L.)で有毒、有毒のものを食べるカバマダラも有毒。
 花は王冠形をしている。開花期は7月から11月、花色は、よく見るのは淡紫だが、白花種もあるとのこと。枝から繊維が採れ、種子から綿が採れる。
 インドではシヴァの神への供花とし、ハワイではレイの材となっているとのこと。

 花

 白花
 記:島乃ガジ丸 2008.10.15  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
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