シバニッケイ |
旅先にはその土地土地に森林公園なるものが概ねある。その土地土地の森林公園を私は概ね訪れる。そして、ひたすら歩き、空気を味わい、写真を撮っている。 沖縄にも森林公園がある。国頭村森林公園は既に3度は訪ねている。しかし、もっとずっと那覇に近い恩納村にも森林公園がある、ということを若い頃から私は知っている。名護市の手前、那覇から行くと右手にその入口があることも知っている。他府県へ行けば概ね訪れる森林公園なのに、恩納村の森林公園を私は歩いていない。 で、先週末(2012年1月29日)、沖縄県立の森林公園である「沖縄県民の森」を訪ねた。「歩いたことは無い」という記憶は確かであった。公園内のほとんど全てが私にとって初めての景色だった。園内は想像していたより広かった。 県民の森に設けられているいくつかある散策コースの一つを歩いた。ところどころに名札のかかった樹木があり、「ほう、これがそれか」などと写真を撮りながら回った。そんな中で目立って数の多い樹木があった。名札にはシバニッケイとあった。 シバニッケイは海洋博公園でも名札の付いたものに会い、その写真を撮っている。海洋博公園のものは灌木状となっていて、シバニッケイはてっきりそういう性質の低木であろうと判断していたのだが、野生のシバニッケイは高木状であった。元々はそれが本質で、海洋博公園のものは剪定刈込みされた形だったのだと判った。 シバニッケイ(柴肉桂):景観・添景 クスノキ科の常緑中木 南西諸島に分布 方言名:ファーンクヮ 名前の由来、ニッケイはニッケイと同属であるからであろうが、シバが何を意味するか不明。匍匐する性質は無く、中木状となるため芝とは考えられない。柴は「山野に生える小さい雑木」と広辞苑にある。本種は山野に生える。ということで柴とした。 高さは4〜8mになる。花は小さく黄緑色で目立たないが庭の添景に使える。開花期は春。果実は楕円形で、熟すと黒紫色になり、油が採れる。 ニッケイに比べ葉は小さく緑が濃い。葉表は緑色で艶があり、裏は灰白色。葉の縁は葉裏側に少し曲がる。同属のニッケイやヤブニッケイ同様、三行脈は目立つ。 ヤンバル(沖縄島北部)の原野で多く見られる。琉球列島の固有種。 学名は、シバニッケイ Cinnamomum doederleinii Engl. ニッケイ Cinnamomum loureirii Ness. ヤブニッケイ Cinnamomum japonicum Sieb. 花 葉 |
記:島乃ガジ丸 2012.2.1 ガジ丸ホーム 沖縄の草木 |
参考文献 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行 |