ミッキーマウスノキ
 邪魔なものがあったときに「どけろ」と言うが、それをウチナーグチ(沖縄口)の発音では「ドゥキレー」となる。邪魔なものが重くて動かせない時は「できない」と言うが、ウチナーグチにすると「ディキラン」となる。などなどと、ウチナーグチにはディ、ドゥの発音が普通にある。つまり、ウチナーグチのダ行はダ、ディ、ドゥ、デ、ドという発音になるわけである。口と舌の動かし方を考えると、これが自然だと私は思う。
 ウチナーンチュならディズニーと言うが、倭人の中にはデズニーと発音する人が多いと思われる、日本でもっとも人気のあるアミューズメントスポットへ、私は未だ行ったことが無い。若けりゃ恋人と一緒にと思うが、若くないし、恋人いないし、である。
 14、5年前だったか、アメリカのワシントンDCへ遊びに行った時、フロリダのディズニーワールドへ足を伸ばさないかとの話があった。が、その時も結局は行けなかった。というか、自らの意志で行かなかった。元々、遊園地で遊ぶということが、子供の頃はともかく、大人になってからはあまり興味の持てるものでは無かったのだ。もちろん、一緒に行く人が美女であれば別なのだが、その時は姉夫婦とだったので、あっさり断った。

 こんな私でもミッキーマウスはよく知っている。何しろ、ミッキーマウスは私の生まれる前から存在し、本やテレビ、映画などで子供の周りにちょくちょく顔を出すので、物心ついたころには私も、その名前と姿を覚えてしまったわけである。
 もう10年以上も前のことだが、ミッキーマウスノキという名の木があることを聞き、それが通称では無く、本名であることを知ってドゥマンギたことがある。マンガのキャラクター名が植物名になったりもするのか、と驚いたのである。花の形状がミッキーマウスの顔に似ているからついた名前らしい。歴史の古いミッキーなればこそである。
 なお、ドゥマンギルとはウチナーグチで「ビックリする」といった意味。

 ミッキーマウスノキ:添景・鉢物
 オクナ科の常緑中木 原産分布は南西アフリカ 方言名:無し
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』ではミッキーマウスツリーとの名称であったが、『沖縄園芸植物大図鑑』にはミッキーマウスノキとあり、この名を耳にすることが多い。言葉として発音しやすいし、優しい感じがするので、ミッキーマウスノキで良いと思う。
 英語ではBirds-eye bush、またはMickey-mouse plantとなっていて、ミッキーマウスノキはこれからきている。直径5cmほどのきれいな黄色い花が咲くが、花弁はすぐに散って、顎片が赤色に変わり、楕円形の黒い石果が付く。赤い色の顎片が顔で、黒い石果が目。果実が2個ある場合はミッキーの顔に見えるが、写真のものは1個しかついていなかった。その後、残念ながら花は咲いていない。和名はキバナオクナという。
 高さ2mほどになるが、成長は遅い。日当たりの良い場所では良く花を咲かせ、実をつけてくれる。半日陰でも十分に生育するので、観葉植物としても利用される。英語でbushとあるように株立ち性。自然に成長させても形は整う。開花期は4月から9月。
 科名のオクナ、これは初登場で、私も始めてお目にかかる。オクナ科の植物は、以下の文献を見た限りでは他に無い。オクナは学名を日本語発音したもの。

 花

 鼻無し

 耳無し
 記:島乃ガジ丸 2005.10.10  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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