クチナシ
 「今では指輪も曲がるほど」太ってしまった女房なのではあるが、それでもなお、そんな女房を愛して止まない友人のNは、もう一人の友人Tとともに我々模合(モアイという名の飲み会)ではダンディーな方のオジサンである。二人とも脱ぐと尻が垂れて、腹がブヨブヨのだらしない姿なのではあるが、着るものでそれをカバーして、少なくとも見た目はまあまあと私は思う。本人たちは、たぶん私以上にそう思っている。
 Nがダンディーなのは見た目だけでなく、心のありようもダンディーである。男とはこうあるべき、夫とはこうあるべき、父親とはこうあるべき、などなどに信念を持って生きているように見える。良い夫であるのは女房との仲の良さから判るし、良い父親であるのは、4人の子供が立派に育っているところからして明らかである。
 月1回の模合はだいたい11時過ぎには終わる。その後、何人かは二次会へ流れる。その何人かに私は含まれていない。何人かにはそれぞれ行きつけの店があり、行きつけの店は概ね若い女の子のいる店で、席に座ると女の子が寄り添ってくれるような店である。そこで、若い女たちを相手に大人の会話を楽しむようである。

 「今では指輪も回るほど」と始まる『くちなしの花』は、あの渡哲也のヒット曲。よくは覚えていないがもう30年ほども前の歌。私は演歌が好きでないので、この歌もあまり好きではないのだが、クチナシの花は好きである。沖縄にも昔からある。紹介するのがだいぶ遅れてしまったが、その写真は花が満開の頃撮ってある。北方面へ向かう散歩の途中の民家の庭にも、親戚の庭にも、職場の庭にもクチナシの木があり、毎年時期になると花を咲かせてくれ、目だけでなく、その良い香りで鼻も楽しませてくれる。

 クチナシ(梔子):添景・花木
 アカネ科の常緑中木 原産分布は北海道南部、沖縄、台湾等 方言名:ガジマヤー
 果実が裂開しないことから和名はクチナシ(口無)となっていて、その名が縁起の悪いものとされ、屋敷内に植えるのを嫌がる人もいる。が、沖縄ではカジマヤー(風車、かざぐるまのこと)といい、どちらかというと縁起の良い名前となっている。
 耐陰性があって、家の裏の暗いところでも生育し、花を咲かせてくれる。6弁のカジマヤー(風車)ような形の白い花は芳香を放つ。香りを楽しむ樹木として定評がある。果実が紅型などの染料使われているのは有名。また漢方薬ともなる。開花期は3月から5月。
 高さ1〜5mと文献にあるが、あまり大きいのを私は見たことが無い。環境が良ければ大きくなるということなのだろう。耐潮風性は弱いので、海浜地の植栽には向かない。

 花

 八重クチナシ

 八重クチナシの花1

 八重クチナシの花2(花1とは別品種)

 クチナシの花、普通は六弁だが、五弁のクチナシがあった。

 クチナシ5弁

 クチナシ5弁の花
 記:島乃ガジ丸 2005.10.9  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
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