アワダン
 アワダンの写真のプロパティーを見ると、撮った日時は2011年9月15日午後4時17分となっている。その日その時私は与那国島にいた。埼玉の友人Kと八重山与那国オジサン二人旅の初日だ。楽しい旅だった。「そうか、あれからもう6年も経つのか、光陰矢のごとしだな、まったく。あの世からのお呼びもすぐだな」と感慨にふける。
 アワダンを調べると、名前の由来が私の参考にしているどの文献にもなく不明。で、私得意の想像(妄想は大得意だが)で、「アワダンのアワは粟であろう」と判断。下にその写真を掲載しているが、小さな果実が100〜150個ほどかたまって着いている。小さなブツブツ、それを粟に喩えたのではないかと想像した訳である。
 と想像しながら、「待てよ、俺は粟をそれと知って見たことがないぞ、何で粟がブツブツだと思ったんだ?」と考えて、「そうか、あれだ、粟おこしだ、ブツブツのお菓子だ」と閃いた。粟おこしは「粟で製したおこし種を、砂糖・水飴で固めた菓子」(広辞苑)のこと。粟おこしは私が子供の頃から沖縄にもあって、子供の頃から食べている。

 粟と言えば五穀の1つでもある。劣等生ではあったが、一応日本文学科を出ているのでそれくらいは知っている。粟の実が小さいものであることも、実物を見たことがないけれど粟粒という言葉から知っている。「きわめて小さいものにたとえ」(〃)のこと。
 アワダンのダンは、下記の説明文では真面目な想像をしているが、ここでは別に、弾ということにしてみよう。粟弾、きわめて小さい弾となる。北の太っちょが血迷って発射をし続けているミサイルがほとんど被害のない粟弾であることを祈る。あるいは泡弾でも良い。そう願う。植物とは関係ない話になってしまった。時節柄ということです。
 
 アワダン(あわだん):景観、防潮風
 ミカン科の常緑中木 与論島以南の琉球列島、台湾などに分布 方言名:アワラン
 名前の由来は資料がなく不明。ダンは檀と想像する。檀は紫檀、黒檀、栴檀など、材質の堅い樹木の名に使われる。本種が「材質は堅い」と書かれてある資料はないのだが、ミカン科であり、ミカン科の樹木には材質の堅いものが多いのでそうであろうと判断。アワについては粟と想像する。花は房状に着き小さい。果実も小さくて固まって多く着く。そのブツブツした果実を粟粒と見立てたのではないかと思われる。が、自信はない。
 高さは6mほど。葉はミカン科の多くがそうであるように良い香りがする。花は白色で小さい、開花期は12月から1月。果実は径5ミリ程度と小さく、食用にならない。
 寒さに弱いということで、分布も与論島以南とある。琉球列島では宮古諸島に多く見られるとのこと。耐潮、耐乾性があり、日向でも日陰でも生育する。
 
 実
 記:島乃ガジ丸 2017.7.27  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
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 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
 『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
 『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
 『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
 『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
 『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
 『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
 『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
 『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
 『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
 『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
 『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
 『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
 『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
 
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