リュウキュウガキ
 今年はその惨状をニュースで観る機会が得られなかったが、ここ数年の沖縄の成人式は暴れる新成人が多くいて、ウチナーンチュとして私は情けない思いをしていた。毎年そんなこと繰り返していたら、「二十歳になっても大人になれない者の喩え」という意味で、琉球餓鬼という言葉が生まれ、そのうち広辞苑にも載ってしまうぞ!
 ちなみに広辞苑によると、餓鬼は「悪業の報いとして餓鬼道に落ちた亡者」という意味と、「子供をいやしんでいう称」との意味がある。広辞苑をさらに読み進めていくと、餓鬼に苧殻(がきにおがら)なんて言葉があった。「鬼に金棒」の反対で、「頼りにも力にもならないことのたとえ」とのこと。「バカ成人に説教」みたいなもんだ。

 さて、今回紹介する植物はリュウキュウガキ、琉球餓鬼では無く、琉球柿と書く。こっちは「頼りにも力にもならない」ことは無い。景観樹として大いに役立つ。
 リュウキュウガキ、その存在する場所は知っているのだが、花の時期を逃し、実の成る時期も逃して、それらの写真が撮れていない。私は頼りにならないオジサンだ。
 追記2011.12.16 石垣島で実の写真が撮れた。

 リュウキュウガキ(琉球柿):主木・添景
 カキノキ科の常緑高木 奄美以南の南西諸島、台湾、他に分布 方言名:クルボー
 カキの名の由来は資料が無くて不明。柿本人麻呂なんて古の有名人もいるので、きっと由緒正しい由来があるのであろう。本種はそのカキノキと同科同属で、琉球列島に自生するのでリュウキュウとつく。沖縄では昔から馴染み深い木だったようで、方言名は地域によってクルボーの他、ウガンクルボー、ウーシブ、ガガなど多くある。
 高さは10mほどになり、幹は直立し、自然に整った樹形となる。アルカリ性土壌を好み、日当たりの良い場所で良く生育するが、半日蔭にも耐える。耐潮風性があり、防潮風林にも使える。成長はやや遅く、萌芽力も弱いので強剪定は避ける。 
 花は目立たないが、開花期は6月から7月、果実は黄色から黒褐色に変わり、結実期は10月から11月。カキと名はついているが有毒で、食用とならない。
 分布は上記の他、マレーシア、オーストラリア、ミクロネシアなど。

 実

 葉
 記:島乃ガジ丸 2010.1.26  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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