マチク
 私は、女女した女性が苦手である。「女女(おんなおんな)した」とは漠然とした言い方であるが、言い換えると、・・・言い換えてしまうと、世の女性を敵に回すことになりそうなので、少し躊躇するが、ここは一つ勇気を持って、言い換えよう。・・・言い換えると、「なまくら刀で竹を横に割ったような性格」となる。・・・ごめん。
 さっぱりと割れない。たくさんの何かが、たくさんのどこかに引っかかってごちゃごちゃしている。いつも何か難しいナゾナゾを出されているような気分になる。「映画に行きたいのか、行きたく無いのか、はっきりせい!」、「ラーメン食いたいのか、食いたくないのか、はっきりせい!」などに対しては、「私が映画に行きたいのか行きたくないのか、ラーメン食べたいのか食べたくないのか、ってことは、あなたが感じてよ。」ということなのだろうか。あー、頭痛がする。私は長く生きている割には、人の心を読むという修行が不足している。本心がどこにあるのかを掴む、ことを苦手としている。
 友人のK女は人妻であり、三人の子供の母であり、孫もすでに一人いる。もう十分にオバサンであるが、私は彼女が好きである。彼女は、竹を(縦に)割ったような性格をしている。意思がはっきりしていて、感情の焦点もボケたりしない。喜んでいるときは喜んでいるし、悲しんでいるときは悲しんでいるし、怒っているときは怒っている。修行不足の私にとってはまったく、付き合いやすい人なのである。

 彼女の住まい(10年ほど前に新築して今は別だが)を訪ねた時、その庭の一角にマチクが植えられていた。マチクは何本もの幹を真っ直ぐ空に向けて立っていた。その力強さと真っ直ぐな立ち姿が、まるで彼女を表しているかのようであった。

 マチク(麻竹):景観、添景、建材、食用
 イネ科の常緑タケ類 ミャンマー 原産 方言名:ファーマギーダキ
 真竹ではなく、麻竹と書いてマチク。名前の由来は資料がなく不明。麻は麻布の材料となる植物麻のことだが、本種とは全然似ていない。漢字の麻には「繊維をはぎとるさま」という意味があるようだが、本種から繊維が採れるとは文献に無い。
 方言名のファーマギーダキは、ファー(葉)のマギー(大きい)竹。高さは15〜25m、径10〜15センチとなり、沖縄に自生する竹では最も大型の一つ。地下茎は長く伸びることはなく、株立ち性となる。
 非石灰岩質土壌(沖縄島では中北部)に適し、そのような場所に自生する。また、庭木としても古くから利用され、沖縄島南部でも見ることができる。
 竹の子は7〜10月に出て美味とのこと。あの、ラーメンに欠かせないメンマの原料とのこと。中国文化の影響を強く受けた沖縄ではスンシー(筍絲)と呼ばれ、炒め煮などの惣菜として古くから親しまれている。ただし、スンシーはほとんど台湾産。沖縄産は見たことが無い。本種は、沖縄では主に庭木や建築用材として利用されたらしい。
 学名は、Dendrocalamus latiflorus Munro
 2009.10訂正加筆(K女の孫は二人となった)

 棹
 記:島乃ガジ丸 2006.7.15  ガジ丸ホーム 沖縄の草木
 参考文献
 『新緑化樹木のしおり』(社)沖縄県造園建設業協会編著、同協会発行
 『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
 『沖縄園芸百科』株式会社新報出版企画・編集・発行
 『沖縄植物野外活用図鑑』池原直樹著、新星図書出版発行
 『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
 『沖縄園芸植物大図鑑』白井祥平著、沖縄教育出版(株)発行
 『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
 『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
 『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
 『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
 『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
 『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
 『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
 『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
 『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
 『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
 『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
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