秘密の時間
 ユクレー島の物資調達を担当しているジラースーは、たいてい金曜日の夜か土曜日にやってきて、日曜日の朝には帰っている。日曜日の朝の、何時頃なのかを俺は知らない。日曜日の朝なんて、たいてい、俺の目が覚めるのは昼後だからだ。
 先週、ユクレー屋で旧正の宴会をやっている時、そのジラースーとマナが怪しい行動をしていたのを俺は見た。怪しい行動は俺の知る限り、その日が初めてだった。俺の知る限りである。俺の知らない時間に何かあるのではないかと疑った。
 マナは俺より早起きである。よって、毎日、午前中の何時間かは、マナの行動について言えば、俺の知らない時間である。そして、ジラースーがこの島にいる間で、俺の知らない時間とは、土曜日と日曜日の午前中である。それが彼らの秘密の時間なのだ。
 で、先日の日曜日の朝、俺は眠い体に鞭打って、朝、目を覚ました。目を覚ましたが寝た振りをしていた。すると、やはりだった。マナが店を出て行った。後をつけた。
 これから楽しい時間が待っている、という割には、マナは神妙な顔をしていた。まあ、ニタニタ笑いながら歩くほど、マナは若くは無いってことだろう。
 さて、マナの行先は、案の定であった。マナとジラースーが密かに会っている。
   −−−ある日のマナの行動−−−
語り:ケダマン 2008.2.15  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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