俺達に明日は無い 「ケダ、棚にあったお餅知らない?」 「餅?正月の残りのか、それならこのあいだ全部食ったぜ。」 「全部って、20個くらいあったでしょ、あれ全部?」 「俺一人じゃないぜ、ゑんちゅと二人でだ。なあ?」とゑんちゅ小僧を見る。 「うん、寒い日だったから七輪に炭を熾してさ、そしたら、何か焼こうよということになってさ、餅が見つかってさ、二人で焼餅にして食べたよ。」(ゑんちゅ) 「20個も二人で一遍に食べたの?」 「そうだ、俺達は元々、俺達に明日は無いみたいな生き方を信条としているんだ。あるものは全部食っちまうってわけだ。どうだ。カッ、カッ、カッ。」 「バカ!威張ってるんじゃないよ。あんた達に明日は無くてもいいのさ、だけど、私にはちゃんと明日があるんだよ。今日は、ぜんざい作ろうと計画してたんだよ。豆は準備したのにさ、餅が無いなんて、どうしてくれるのさ!」と怒鳴る。殴りそうな勢いだ。俺とゑんちゅ小僧は後退りしながら、ドアから出て行った。 「バカ!幽霊みたいに消えるんじゃない!戻っておいで!」 −−−ある日のユクレー屋の情景−−− |
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