マナ、スターへの道
 先週、ユクレー屋にカラオケ機材を持ち込んで新春歌合戦をやった。カラオケ機材といっても、ジラースーの友人が昔経営していたカラオケスナックで使用していたものを、マミナ先生が譲り受けたもの。20年ほども前のものだ。古い唄ばっかりだったのでユーナの知っている曲は少なかったが、マナには十分あった。
 新春歌合戦の時もマナは十分に歌ったが、その後も、カラオケ機材を返さず、ユクレー屋に置いたまま、ほとんど毎日歌った。マナの歌は、俺達にとっては十分過ぎた。
 「私、歌っているのが大好きさあ。歌手になれば良かった。」とマナは言いながら、次から次へと歌う。しまいには、俺とゑんちゅ小僧にバックコーラスを言いつけて、「よっしゃ、これから頑張って、スターへの道を突き進むぞ!」などとほざく。俺は優しいマジムンなので、思ったことが素直に口に出る。
 「オメェよ、その願いは諦めな。そんな下手だとスターになるのは無理だぜ。」
 「はっきり言うね、あんた。まあ、自分でも上手いとは思ってないけどさ。」
 「歌がダメなら容姿って手段もあるけどな、どんなに余所行きの顔をしたって、その程度の顔でスターなんて無理だと思うぜ。」・・・マナは無視して、歌い続けた。
   −−−ある日のユクレー屋の情景−−−
語り:ケダマン 2008.1.11  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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