マナの沖縄料理
 マナが台所でガサガサやっている。今日は昼飯後からずっとだ。
 「マナ、何やってんだ?」と声をかける。
 「勉強してるんだよ。料理の。」
 「勉強?お世辞言うわけじゃないが、おめぇの料理、まあまあの線いってるぞ。」
 「それはアリガト。まあまあっていうのがちょっと微妙だけどね。沖縄料理を勉強してるんだよ。今度の正月の御節は私が作ろうと思ってね。」
 「ほう、それは殊勝な心掛けだが、ウフオバーはいないのか?」
 「今、村に行ってるよ。マミナ先生に頼まれて、子供達とのお話会なんだって。それよりもさ、ケダ、これ食べてみて。」とマナが皿を寄こした。天麩羅だ。
 「おー、アリガトよ。じゃあ、遠慮なく。」と俺は皿の天麩羅を一つ手で摘まんで口に入れた。しかし、その天麩羅は不味かった。油がギトギトついていた。
 「うっ、何だこれ、悪いが、食えたものじゃないぞ。ずいぶん油っこいぞ。」
 「へっ、へっ、へっ、じつはそれ、失敗作なんだ。」と悪戯っぽく笑う。その後、ゑんちゅ小僧にも試食させた。というわけで、この話はゑんちゅ小僧の瓦版に続く。
   −−−ある日のユクレー屋の情景−−−
語り:ケダマン 2007.12.28  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
inserted by FC2 system