寝足りない季節
 週末の夕方、いつものようにゑんちゅ小僧がユクレー屋に来る。ニコニコしている。体調良好って顔だが、俺もこのところ絶好調だ。
 「いやー、良い季節になったな。春眠暁を覚えずって中国の言葉があったが、この南の島では、今のこの季節がまさに『暁を覚えず』だな。」(俺)
 「そうだね。いくらでも寝ていられそうだよね。」(ゑん)
 「そう言えば、シバイサー博士もこのあいだ、『寝足りん節』ってのを歌っていたな。『ニティンニララン、ニティンニララン』とかだったな、確か。」(俺)
 「でも、それってさ、あんたたちが言っている『暁を覚えず』とは意味が違うでしょ。気持ちの良い季節の眠りを歌っているんじゃないでしょ。」(マナ)
 「そうだね、ニティンニラランは寝ても寝られないということだからね。」(ゑん)
 「いつもニーブイ(眠気がさしている状態)している博士がか、何でだ?」(俺)
 「地球温暖化とか、戦争が無くならないとかを心配してかなあ。」(マナ)
 「それは無いよ。寝てもすぐに起こされるんだよ、ゴリコに。たぶんね。」(ゑん)
   −−−ある日のユクレー屋の情景−−−
語り:ケダマン 2007.12.7  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
inserted by FC2 system