仮免ライダー ユクレー屋の庭で日向ぼっこをしていたら、遠くからオートバイの音が聞こえた。こっちに向かっている。ユクレー島の人々は乗り物をあまり使わない。せいぜい自転車くらいである。車は何台かあるが、オートバイは確かこの島には無かったはずだ。 顔を上げると同時にオートバイが庭に入ってきて、停まった。ガジ丸だった。 「よー、何だそれ?」 「あー、マナの注文だ。」 「えー、あいつ、ピアノやらオートバイやら、やたらと大きなものを注文するなぁ。それにしても、それ中型だろ?あいつ乗れるのか?ピアノと一緒でこれもまた、ただの飾り物になるんじゃないか?」と言うと、 「そんなこと無いよ。」とマナが出てきた。「ピアノはまあ何だけどさ、これは店の役に立つんだ。出前に使うんだ。だからさ、ちゃんと乗れるようにするのさ。」 「ってオマエ、乗れるわけじゃないのか?」 「昔、教習所に通ったことあるよ。仮免のままで終わったけどさ。」 −−−ある日のユクレー屋の情景−−− |
語り:ケダマン 2007.11.16 次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島 |