月下の遊覧
 晴れていれば、皆で浜辺に出てバーベキューをしながら月を愛でる。それが、毎年中秋の名月の夜の恒例となっている。今年の観月会もそうなった。
 ひとしきり飲み食いし、飲めや歌えやと宴も盛り上がって、満月が頭上に来る頃、
 「ボートに乗って海の上から月を眺めてみたいな、ケダ、ボート出してくれない?」とマナが言う。海は凪いでいる。ボートからの月見も一興かもしれない。
 「おー、いいぜ。勝さんのボートがそこにある。それを使おう。」というわけで、マナと二人ボートに乗って、月下の海上を漂よった。しばらくして、
 「中原中也って知ってる?」
 「知らねぇ、誰だそれ?」
 「詩人。大正から明治の初期に活躍した人。その人の詩にね、ユイ姉が曲をつけて歌っていたのさ。それを思い出したんだ、月見ていたら。」と言って、マナは一節歌った。
 「ぽっかり月が出ましたら 舟を浮かべて出かけましょう 波はひたひた打つでしょう 風も少しはあるでしょう」・・・静かな歌だ。イイ感じで時が流れた。
   −−−中秋の名月の夜、マナとの会話−−− →音楽(湖上)
語り:ケダマン 2007.9.28  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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