ガジ丸の肴
 「あんたたちさあ、別に食べなくても生きていけるんでしょ?」とマミナが訊く。あんたたちとは、俺とゑんちゅとガジ丸の三人だ。雁首揃えてカウンターに座っている。
 「何かさあ、勿体無いような気がするわけよ。無駄な食事が。」
 「無駄かなあ、俺たちが食うのは。」と俺が言い返せないでいると、
 「俺たちは確かに食わなくても生きていけるが、俺たちは食うことを楽しんでいる。そして、楽しむことが俺たちの生きるエネルギーになる。だから、食うことは無駄ってわけじゃない。」と、ガジ丸が応えてくれた。
 「えっ?ガジ丸はさ、そんなに食わないじゃないか。」と、ゑんちゅ小僧がガジ丸を見て、腑に落ちないような顔をして、言う。
 「俺は、元々小食なんだ。謙虚だからな、楽しみも少しでいいんだ。」
 と、そこへ、ウフオバーが顔を出す。
 「ハイハイ、ガジ丸はこんなもので幸せになるんだよ。」と言ってシマラッキョウのキムチを出した。ちょっとしかないが、ガジ丸はこれで一晩持つとのこと。
   −−−ある日のユクレー屋の情景−−− →写真(シマラッキョウキムチ)
語り:ケダマン 2007.9.14  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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