ぐうたら亭主
 「マミナ先生はよー、見た目もそうだが、女に似合わず鷹揚だよな。」
 「見た目もそうはちょっと腹立つけど、まあ、許すよ。だけど、女に似合わずは気に入らないね。性差別だと思うよ。鷹揚かどうかは男女に関係ないよ。」
 「いや、まあ、そりゃまあ、そうだな。」
 「それにさあ、私、この島に来てからはずいぶん落ち着いたけど、若い頃は激しかったんだよ。人を殺そうと思ったこともあるんだよ。」
 「人を殺そうって、穏やかじゃないな。誰を殺そうとしたんだ?」
 「亭主。働いているうちはまだ良かったんだけどね、会社が倒産して無職になってからダメになったさあ。ぐうたらな男になってしまったさあ。私からお金をせびってはパチンコ屋通いでさ、負けたらスゴスゴ帰ってきて、勝ったら飲み屋で騒ぐ毎日だったさあ。立ち直らせる力が私に無いのが悔しくてね。殺す前に別れたわけさあ。」
 ウチナーンチュの男にはぐうたらが多いのだが、マミナの亭主もそうだったようだ。
   −−−ある日のマミナとの会話−−−
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