歴史を考えるケダ
 「マナ、ちょっと替わってちょーだい。」と、テーブル席で村の人たちのユンタク(おしゃべり)相手をしていたウフオバーがカウンターに入って、マナに言った。
 「うん、いいよ。」とマナは答え、テーブルに行く。その夜は、ゑんちゅ小僧がまだ来ていないので、カウンター席は俺一人だった。オバーは俺に話があるみたいだ。
 「ケダ、明日、私をオキナワまで連れて行ってくれないかねえ。」
 「うん、いいけど。でも、珍しいな、こんな時期に。」
 「だねえ、60年ぶりになるかねえ。」
 「何か用事でもできたの?」
 「明日がオキナワの終戦記念日さーねえ、その日に『ひめゆりの塔』とか『平和の礎』とかを拝んでおきたいと思ってねえ。」
 「あー、そうか。いいぜ。なら、朝早く出ようか。」
 というわけで、翌日、オバーを背中に乗せてオキナワへ飛んだ。首里城もぜひ見ておきたいというので寄った。それから南部戦跡を巡る。あれから62年経ったのかと、俺も感慨に浸る。珍しく真面目な気分になって、島の平和が長続きするようにと祈った。
   −−−ある日のウフオバーとの会話−−−
語り:ケダマン 2007.6.22  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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