無条件幸福
 恋する女、マナは今日も元気だ。彼女の恋が上手くいっているわけではない。何しろ、相手はジラースーという強敵なのだ。ちっとやそっとでは心を動かさない男なのだ。それでも、何をどう吹っ切ったのか知らないが、マナは元気である。
 「マナ、おめぇ元気だよな。ジラースーと会ってはいるのか?」
 「何よ急に。・・・会ってはいないよ。ここに来たときに挨拶するくらいさあ。」
 「気持ちを伝えていないのか?」
 「うるさいねえ。いいじゃないそんなこと。何も伝えてないよ。」
 「ほう、それでその元気は、なんくるないさってことか?・・・ふーん、ということはつまり、今のマナの元気は無条件幸福ということだな。」
 「無条件降伏?私が負けたってこと?」
 「勝ち負けじゃないぞ、恋は。コウフクは降伏じゃなくて、幸福だ。こうなったらいいなあとかの条件をつけなくても幸せってことだ。生きていることが先ず幸せだわな。好きな人がいるってことはさらに幸せなんだ。それでもう十分に幸福ってことさ。」
   −−−ある日のマナとの会話−−−
語り:ケダマン 2007.6.15  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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