大人のおもちや
 春爛漫って季節だ。夜の空気も温い。酒は年中旨いではあるが、このくらい涼しい頃は、酒が体中に染み渡って気分が良い。ふにゃっとした酔い加減になる。
 「良い気分だな。酔うと、何かでれーっとなるな。」
 「何言ってんのさ、ケダはいつもでれーっとしてるじゃない。」
 「このまま夜の闇に、溶けていってしまいそうだぜ。」
 「いいんじゃないの、そのまま溶けちゃいな。」
 「冷たい女だなあ。たまには優しくなれないのか。」
 「優しくねぇ。・・・そうだ、大人の話をしようか。」
 「大人の話?ちょっと色っぽいってことか?そりゃあ聞く、聞く。」
 「大人のおもちやって知ってる?」
 「おー、知ってる、知ってる。よーく知ってる。大人のおもちゃ、だーい好き。あんなものとか、こんなものとか置いてあるだろ。そんなHな話、だーい好き。」
 「そこではさ、辛いのとか、苦いのとか、渋いのとしか置いてないんだ。」
 「何の話じゃい。」
 「大人のお餅屋の話よ。ウイットの効いた大人の話ってことよ。」
   −−−ある日のマナとの会話−−−
語り:ケダマン 2007.4.20  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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