ゼンモック 久しぶりにユクレー屋に戻ってきた。俺が店の中へ入ると、カウンターにガジ丸が座っていて、その向かいにいつもと変わらぬユーナの可愛い顔があった。 「あっ、ケダマンだ!」とユーナ。 「やあ、ただいま。」と俺。 「おう。」とガジ丸。奥にいたウフオバーがこっちを見て、にっこり笑った。 「はっさもう、どこ行っていたのさ。」と再びユーナ。 「何だか解らんが、気がついたらオオワシの巣の中にいたよ。夕方島に着いて、さっきまでシバイサー博士のところにいた。博士に、外でのんびりと寝られるようなものを作ってくれと頼んできた。毛を紐で結んだだけじゃ、またいつ切れるか分らないからな。オオワシの巣は臭かったよ。」 それから二日後、注文したものを持ってシバイサー博士がユクレー屋にやってきた。博士が俺のために作ったものは、ハンモックが二つ、サンドイッチのようになっていて体を包むものであった。名前を聞くと、 「ゼンモックだ。体全体を包むので全モックってことだ。カッ、カッ、カッ」とのこと。 −−−オオワシの巣から戻ってきての会話−−− |
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