なんくるないさ
 ユクレー屋の庭、心地よい春の陽気の中、ハンモックの上でグダグダしていると、
 「ケダーーー、」と、こっちに近付きながらユーナの声。
 「何だ?」と、十分近付いたところで、返事する。
 「散歩行こう。」と陽気な声でお誘い。しかし、
 「行けば。」と、俺はツレナイ応え。しかし、
 「あ、そう。」とユーナはあっさり。そのままスタスタ門へ向かう。
 「おっ、ちょっ、ちょっ、ちょっ、ユーナ、ちょっと待て。」
 「何よ。」と振り返った顔は、別に不機嫌そうでも無い。
 「何、ってこともないが、お前、何かずいぶんあっさりだな。」
 「ん?あっさり?・・・そう?・・・もう子供じゃないってことだわけさあ。」
 「子供じゃないか、ふーん、恋人はできないのになぁ。」
 「煩いねぇ、恋人がいてもいなくても私は私。なんくるないさで生きていくのさ。」
 「なんくるないさ」は「なるようになるさ」ってこと。なんくるないさの気分で乗り切れるほど青春の悩みは甘くないと思うが、そんなユーナ、明後日オキナワに帰る。
   −−−ある日のユクレー屋の情景−−−
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