ヒモノ生活
 ユクレー屋のカウンターには今日もユイ姉が立っている。
 「お前、もう2ヶ月になるんじゃないか?こっち来て。」
 「うん、そうなるねぇ。」
 「向こうには友達も多いんだろ?心配している客もいるんじゃないか?」
 「そうだねぇ、いるかもねぇ。でも、長期休暇って言ってるからね。」
 「そういえばよ、元亭主のクガ兄とは全然会ってないのか?」
 「いや、年に何回かは会うよ。客として来てくれるんだよ。」
 「よりが戻るってことは無いのか?」
 「まあ、それは無いね。あの人、今でこそ一応まともに働いているけどね、働かないと食っていけないからね。でも、私といる頃は、まるでヒモ生活だったんだよ。頼れる人がいると甘えるんだよね。その性格は直らないねきっと、死ぬまで。」
 「そうかぁ、ヒモかぁ。いいよなぁ、ヒモの生活って、楽そうだよな。」
 「あんたも似合うよね、ハンモックに挟まれて、お日様にさらされて、そんなの見てたらさ、ホント、あんたなんか正真正銘の干物生活だよ。」
   −−−ある日のユイ姉との会話−−−
語り:ケダマン 2009.3.6  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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