幸せの爺さん 正月二日、穏やかな天気だ。爽やかな風だ。そして、愉快な新年となった。 昨日、予定より2日遅れでマナのお腹から赤ん坊が出てきた。1月1日の、なんともお目出度い誕生。大きなお腹からもしかしたら三つ子か、あるいは四つ子かもと思われていたが、結果は双子だった。男の子と女の子、両方とも丸々太った元気な子。 生まれたのは早朝、それから俺たちは宴会だった。ゑんちゅ小僧に訊くと、ユクレー島での出産は初めてとのこと。目出度い正月に目出度い出産。ということで、日が替わった今日は、朝から村の人たちも挨拶に来て、ユクレー屋は大賑わいである。 勝さん、新さん、太郎さんがそれぞれ日本酒を差し入れてくれたので、その日も昼間からの宴会となる。マナと赤ん坊はずっと母屋なので、宴会での主役は赤ん坊の父親であるジラースー。齢六十過ぎての父親は、情けない位に顔が緩みっ放し。 「よー、どうだい、爺さんになってからの子供というのは?」と訊いても、 「フッ、フッ、フッ、フッ、フッ、」と含み笑いばかりだ。生まれる直前まで不安げな顔をしていた男がまあ、なんともエライ変わり様なのである。そして、 「赤ん坊も嬉しいが、マナが無事であることがなにより・・・。」とのろけた。 −−−ある日のユクレー屋の情景−−− |
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