初恋成就人 いよいよマナが臨月だ。予定日は30日とのこと。その大きなお腹を抱えて、今日もカウンターに立っている。正確に言うと、時々立って、ほとんどは腰掛けている。 「おー、さすがにそのお腹、重くて立ってられないか?」 「長時間はきついね、さすがに。」 「まさか、産むギリギリまで働いているわけじゃないだろ?」 「再来週にはユーナが帰ってくるって言うから、それまでだね。」 「おー、帰ってくるか、もう一人の幸せもんが。」 「幸せもんって、ユーナはそうじゃないかもよ。」 「なんだ、初恋が成就してウハウハじゃないのか?」 「うん、ジラースーから聞いたんだけど、別れたみたいだよ、前の彼とは。」 「へーっ、そうか、別れたか、初恋は成就しなかったのか。」 「だね、初恋ってのはなかなか成就しないものさ。」 「って言うお前はどうだったんだ?」 「はっさ、私は子供の頃から可愛かったんだよ。堂々たる初恋成就人さあ。」 −−−ある日のマナとの会話−−− |
語り:ケダマン 2008.12.5 次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島 |