かれはよ
 良い天気だ。空は青く澄み渡っている。心地良い風も吹いている。明日から11月、晩秋ということになるが、ここ南の島は爽やかで、明るく、暢気な季節。
 「いいなぁ、この島は、暖かくて、のんびりしていて。こんな島で生まれたら、お前の子供ものんびりした性格になるぜ、きっと。」
 「それはいいね。でも、のんびりだけじゃあ、ちょっと物足りないね。」
 「んー、何が足りないんだ?」
 「少しは情緒も無いとね。季節を感じる心も持ちたいね。」
 「情緒は知らないが、暑さ寒さなら俺も感じるぞ。」
 「はーぁ、まあいいさ、あんたはそれで。情緒ってのはね、秋の枯葉がはらはらと落ちるのを見て、寂しさを感じるようなことさ。かれはよーって唄もあるさあ。」
 「かれはよーか、知ってるぞそれ、シャンソンだな。かれはよー、かれはよー、ユーナのかれはよー、なんてな。聞いたか?」
 「何よ、枯葉よーが彼はよーになって、どうしたのさ。」
 「いや、ガジ丸からの情報だ。ユーナの彼はよ、おねぇキャラだとよ。」
   −−−ある日のマナとの会話−−−
語り:ケダマン 2008.10.31  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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