頼れるもの マナが、カウンターの中の椅子に腰掛けて何やらいじっている。 「マナ、それ何だ?」 「携帯電話だよ、知らないの?」 「携帯電話なら知っているが、ほう、ずいぶんスマートだな。」 「はあ、あんたが知ってる携帯電話って、きっと10年前のものだね。」 「そんなこと無ぇぞ、折り畳みになったのは知ってるぞ。」 「折り畳みなんて、そりゃあもう10年前だよ。」 「そうか、・・・それにしても、何でそんなもん持ってるんだ?電話ならここにあるじゃないか。この島は見えない島だが、電話はどこにでもちゃんと通じるぞ。」 「先生に、医者のだよ、持った方が良いって勧められたんだよ。何かあった時に、すぐに連絡ができるようにってさ。何かあった時はケダマンの背中に乗って飛んでいくから大丈夫って言ったんだけどね、『あいつは飲んだくれだからあてににならない。携帯電話の方がよっぽど頼りになる。』って言うのさ、ジラースーが。で、持ってるわけ。」 「あほ、俺だっていざとなりゃスーパーマンに変身するぞ。頼りになるぜ。」 −−−ある日のマナとの会話−−− |
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