真夏が来る前に
 ユクレー屋の庭の、ガジュマルの木陰で昼寝していると、
 「ねぇ、ケダマン、」とウフオバーに声を掛けられた。「マナがどんな様子か、ちょっと見に行きたいんだけど、連れて行ってくれんかねぇ。」と言う。
 「あー、お安い御用だ。」ということでひとっ飛び、マナの顔を見にいった。
 マナは家にいた。部屋の掃除をしていた。普通に体を動かしている。
 「よー、何だ、元気そうじゃないか?」と声をかける俺には目もくれず、
 「あい、オバー。」と大きな声を出して、マナはオバーに抱きついた。
 「はい、はい、元気そうだねぇ。まあ、そうだとは思ったけどねぇ。」
 「うん、大元気さあ。そろそろユクレー屋に復活しようと思ってるさあ。」
 「そうだねぇ、ある程度体は動かした方がいいからねぇ。それよりも私は、気候的にも島の方が良いんじゃないかって思うさあ。ここは暑いからねぇ。真夏の間だけでも島で過ごした方がいいんじゃないかねぇと思うわけさあ。」
 「だよね、私もそう思うんだけど、ジラースーがさ、島には病院が無いから心配だなあって言うのよ。でも私はさ、産むのも島で産みたいと思ってるんだよ。」
   −−−ある日のウフオバーとマナと俺の会話−−−
語り:ケダマン 2008.7.11  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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