直線の街
 「私、ホントにマジムンになろうかな。」
 「だめよー」とここでウフオバーが口を挟む。
 「ユーナはね。十八になったら普通の世界に戻るのよ。」
 「普通の世界って、好きじゃない。」とユーナ。ユーナの叔父さん(父親の弟)がオキナワにいて、ユーナは時々そこに行っている。もうだいぶ前から叔父さんがユーナを引き取るという話になっているのだが、ユーナの決心がつかず、延び延びになっている。
 「叔父さんのところが嫌なのか?」
 「ううん、叔父さんも叔母さんも優しいし、従姉弟たちとも仲は良いよ。でも、街が嫌い。叔父さんの住んでいる街は何だか歩き辛い。道が直線で、建物も直線で、だから、何だかそこを歩いている人達も線でできているみたい。こことは全然違う。」
 「まあな、人の心も体も含めて、自然のものはほとんど曲線でできているのに、人間が作ったものには直線が多いからな。ぶつかると痛いんだな直線は。」
   ―――ある日のユーナとの会話―――
語り:ケダマン 2006.7.21 次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島

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