しわくちゃさーの反逆
 6月の陽射しは少々熱いが、今日も爽やかな風が吹いている。庭に出て、地面の上にゴロンと転がって、日向ぼっこをする。少々熱い陽射しが程良い虫干しとなる。
 しばらく、そうしてゴロゴロして、気持ち良くなって、寝入りそうになった頃、店のドアが開いて、ウフオバーが一人で出てきた。お出かけみたいだ。
 「オバー、どこへ行くんだ?」と声をかけた。眠くもあったが、暇でもあったので、面白そうなところなら付いて行こうと思った。オバーはニッコリ笑って、
 「デートさあ。」と答える。その冗談に付き合って、
 「そんな皺くちゃの顔でデートか、相手はどんな皺くちゃなんだ?」と憎まれ口を叩いた。すると、オバーは俺の顔に自分の、笑いの消えた顔を近づけて、
 「あんた、私もあんたと同じくらい生きてるんだよー、私も半分マジムンみたいなもんだよー、こんなこともできるさー。」と言って、両手で顔をゴシゴシと数回撫でて、そして、その手を退けた。俺は腰を抜かしそうになった。初めて見る顔がそこにあった。オバーにこんな技があることも初めて知った。いやはや、女は恐ろしい。
 「化け物ではないよー、マナが化粧するのと似たようなものさあ。」と笑った。
   −−−ある日のユクレー屋の情景−−−
語り:ケダマン 2008.6.20  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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