労働の後の飲み物
 今日は、ゑんちゅ小僧と二人で、ジラースーの船から物資を運ぶ手伝いをした。すぐ傍のデンジハガマの洞窟に運ぶだけだが、慣れない仕事なので汗をかいた。
 普段は、その仕事はガジ丸とジラースーがやっている。勝さん、新さん、太郎さんの三長老も船内から表へ出すといったことを少し手伝ってはいるが、船から洞窟へ運ぶ仕事は全てガジ丸とジラースーがやっている。そのジラースーが今日はいないので、俺達が代わりということである。俺達2人でもジラースー1人分の労働力には及ばないようだ。昼後から始めて、いつもならおやつ時には終わるそうだが、今日は夕方近くまでかかった。
 「いやー、久々に汗をかいたな。労働の後はビールだよな。美味いだろうな。」
 「そりゃあ美味いだろうけど、残念ながらここにビールは無いよ。」
 「えっ!じゃあ、皆は荷運びした後、いつも何飲んでるんだ?」
 「はい、これ。」と言って、太郎さんが液体の入ったコップを差し出した。液体は彼の持っていた水筒から注がれたものだ。暖かかった。緑茶だった。ビールじゃないことが残念と思ったのだが、これが意外と美味かった。何かほっとする。癒されてしまった。
 「こういうのもあり、だな。人生の淡い味ってことだな。」と思った。
   −−−ある日のユクレー島の情景−−−
語り:ケダマン 2008.6.6  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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