雨の日が洗濯日和
 「いい天気だね、今日もここは。オキナワは梅雨入りの時期なのにね。」
 「ツユ?・・・あー、梅雨のことか。そうだな、そういうのがあったな。そういえば、俺も長いこと雨に打たれるって経験をしていないな。」
 「あんた、昔、流れモンだったんでしょ?あちこちで雨の経験はあるんじゃないの?」
 「流れモンって表現はちょっと違うぜ。俺は漂泊してたんだ。」
 「漂白って、あっそうか、その汚れた毛をきれいにしたかったんだね。」
 「毛をきれいに?って、アホッ、漂白じゃなくて漂泊だ。空にプカプカ浮かんで、風の向くまま気の向くまま漂っていたんだ。」
 「行く当ての無い旅人だったわけね。カッコイイー!」
 「ヘッ、ヘッ、ヘッ、・・・で、雨なんだがな、雲の上を漂っていれば雨に打たれることも無いわけだ。しかし、たまにはわざと雨に濡れることもあったぜ。」
 「何でさ、濡れなくてもいいのに濡れるのさ?」
 「たまに洗濯してたんだ、この毛を。雨の日が俺にとっては洗濯日和なんだ。」
 「あっ、だからさ、その時漂白すればさ、もっときれいになったんだよ。」
   −−−ある日のマナとの会話−−−
語り:ケダマン 2008.5.16  次のケダマン 前のケダマン 最初のケダマン ユクレー島
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